風の果て

恋をしただけ それだけのことを

【覚書】M&Oplaysプロデュース 八犬伝(3/23ソワレ)

私の大好きな八犬伝を、私の大好きなサダヲとふみ様がやるというので、いそいそと見てきた。
そういえばこの日はたしか、昼間インターミッションのトークショーをパトスで見て、そのまま渋谷に移動した気がする。楽しかったな、あの3月。
(2014.07.20)


丸2年ぶり?のコクーン!同じ劇場でも、何もない暗いステージ上でスタッフや監督が動き回ってたミシマダブルと、普通に緞帳が下りた状態の八犬伝では、開演前から印象が全然違ってて面白かった。
2階席D列で見たんだけど、通路わきだから広々座れたし、ほぼ真正面だったので見やすくてよかったです。ただ、前の人が終始前のめりだったので超邪魔だったけどな!^


それはさておき、面白かった!これ見た人が「二幕だけもう一回見たい」って言ってるの見かけるんだけど、ほんとに二幕の出来がよくて。逆に言ったら一幕がちょっと物足りない。笑えるし面白いんだけど、うーん。「チープだなぁ。これだけのメンツ揃えても、こんなもんなのかなぁ。」ってちょっと足りない!って思いながら幕間終えたのに、2幕後半で一気に世界が変わった。意図的にそうしたのか、結果的にそうなったのかわからないけど、終盤だけ別物みたいだったなー。

前にも書いた気がするけど、私の中の八犬伝は毛野としんべえのキャスティングが良ければおっけーです!なもので。でも毛野って基本的にそんなに大きくフューチャーされることないんですよね。しんべえはそれなりにおいしいこともあるけど(と思ってたら、何かの雑誌の中村くんと河原さんだったかの対談で、案の定しんべえメインの八犬伝の話が出ていたw)。だから後半ずっと毛野のターンなのちょぉぉぉ楽しかった。あと今まで読んだり見たりしてきた八犬伝って毛野は女の恰好して生きてきたけど、犬士に加わってからは普通に男として生きてたイメージがあって。でも今回の毛野は、女としての生き方しかしらなくて、でも本当に女として生きてくことはできなくて、どっちにもなれない苦しみからの裏切り展開に繋がっていくのが面白かった。おかげで中村くんずっと女装だったし(ごちそうさまです)。

一幕はコメディ要素強かったし、こっちはひたすら毛野待ちだったので、屋根の上のあたりからもう気持ちは正座!くらい毛野待ちだったので(早いよw)最初30分くらいはさほど感想がないんですが。いくら舞台っていっても、サダヲとLJKふみ様が幼馴染の許嫁は無理があるだろうww荘介とくっつけよwwとか思ってたんですが、それでもサダヲとふみ様のやり取りは可愛かった。ふみ様がちっちゃくて可愛くて、ピンクの着物で座ってるとお人形さんのようであった。一瞬だけ舞を披露するシーンがあるんだけど、動き綺麗だったー。初舞台らしいけど、声通るし滑舌もいいから全然初めてって感じしなかったな。
瀬戸くんは可愛かったけど、ポスターとか番宣での扱いに比べてたいして出てこなかったなという印象(笑)一応見せ場もあるし、最後生き残る組だから役としては大きいのかもしれないけど、いかんせん終盤の敵側のキチっぷりと太賀くんが素晴らしくてねぇ。あと本筋とはあまり関係ないけど、伏姫・亀篠・雛衣の3役演じた内田滋さんの死に芸3連発が見事でした(笑)


オリジナル脚本に入る前の、犬塚宅→大塚宅での村雨のくだり→道節の似非魔術→屋根上の戦い→女田楽→小文吾の宿→大介登場っていう流れは、無難に必要なとこピックアップした感じだったかなぁ。信乃VS現八の屋根の上の戦いは全編コメディ化されてる上に、途中で和太鼓パーカッションも入るので面白かった。
印象的だったのは、雛衣のくだりをきっちりやったところと(代わりに船虫が全編カットなんだよね。)、浜路の死を信乃の破傷風のところに持ってきてたこと。「男と女の血を五合ずつ」は確か戦いに巻き込まれて死んだ小文吾の妹夫婦か誰かの血でやってた気がするんだけど(曖昧)、それが荘介と浜路の血になってた。結局荘介は防衛本能が働いたのか致命傷には至らず、信乃を救ったあとも生き延びるのだけど、いくら愛する者のためとはいえこんな形で荘介が命投げるのは不自然だなと思ったので、「殺してしまった罪と生き残ってしまった罪」を背負わせて最後まで生かしたのはよかった。浜路は本当に信乃様を愛し通して死んだ女だから、あそこで自分の身を投げ打って死んでも自然だし、ふみ様上手いから超切なかった><切ないけど、そこまで一途に一人の男を愛してしまった女の深すぎる愛情の狂気みたいのも孕んでて、ここまでただのお人形様だったのが動き出した感じで好きだった。
あとこのくだりから大介が登場するわけだけど、「不思議な力を持つ孤児」っていうかなり年齢設定低い役になってた。15、6のイメージだったんだけど、この大介はせいぜい12,3だろうなぁ。時代背景踏まえるともっと下か。実は太賀くんってジョパンニやってたのしか見たことなくて、あれも私にとっては完全にカンパネルラのための銀河鉄道だったからww、ちゃんと見るのはほぼ初めてだったのよね。ジョパンニの時はそんなに印象残らなかったんだけど、舞台の太賀くんめちゃくちゃよかったー。びっくり。

そんなこんなで、信乃が復活し荘介も一命をとりとめ大介の改名も済ませ、ゝ大法師も含め全員集合!というところで、毛野の「歌舞伎の真似事で、名乗り合いといきましょうか」からの口上がめっちゃかっこよかった><毛野様かっこいいよー><色っぽいよー><名乗り合いのあと横並びでタップっぽくちょっと踊るんだけど、そこが最高に上がりましたね!!なんでゝ大法師もいるんだよwwとか(ちなみにゝ大法師はみんな大好き田辺さんですw)、おまいら村雨の存在忘れてるだろうwwwwとか(ここは終盤でちゃんと回収されたので安堵いたしました)内心突っ込みつつも超楽しかった!むしろここまで来てやっと血が沸く瞬間に出会えた><(笑)
ここで1幕終わりだったかな?そういえば、1幕終盤、怪我してる荘介の隣にずっと寄り添って地味に世話焼いてる毛野様が萌え苦しかったです。本筋よりそこばっかり見てた。その時の毛野見ながら、あぁ今回の毛野は犬士となったあとも女として生きてるんだなって思った記憶がある。面倒見のよい姐さんっぷりがすごく良かった。


2幕は、小文吾の宿から足利の城へ向かうシーンからスタート。ここからじわじわと実権が毛野に移り、じわじわとしんべえの出生にスポットが当たり始める(今回の信乃は基本的に大事なところでしか動かないw)。「お?おぉ?そうくる?」って私がうろたえ始めたところで、本性あらわした毛野様→しんべえの過去解明→姫様との対峙までの流れすごかったー!女としての生き方しか知らず、女として生きることもできない苦しみを切々と吐露した後の、豹変っぷりがもう…すごくてね。1幕でも「中村くん綺麗だなー色っぽいなー」と思ってたけど、ここからの黒毛野様の迫力はちょっと想定外すぎた。毛野にたまづさ憑りついてるんじゃないかってくらい妖艶で狂おしくて強くて。声もいいんだろうな。女声にしてるわけじゃないんだけど、そのハスキーさが逆に色っぽい。

着々と玉を集めていく毛野、何かに感づきながら裏で単身ひた走るしんべえ、唯一毛野の本性を知ってしまった状態でひそかに城へ向かう荘介の3本柱(+主役御一行様)で物語は進み、8つの玉を揃えた毛野と、八犬士の生きのこり組が集結した足利の城。何かがおかしいことに気づきざわつき始める戦士たち。顔を隠した状態で現れた姫様。え、あれふみ様だよね?浜路生きてたフラグ?

…と思ったら、浜路の亡骸器にしたたまづさの怨霊降臨んんんん!!!!!!

一幕とまったく別人の勢いで暴れるふみ様!淡いピンクの着物のけなげな浜路は確かに可愛かったけども、赤黒の着物に身を包んだ狂乱のたまづさ(IN浜路)の、「このために!二階堂ふみキャスティングしました!!」感やべぇwwそうですよね、せっかくのふみ様初舞台で、あんな可愛いだけの役与えるはずないですね。これは「メイちゃんの執事」で谷村美月が黒幕だったとき以来の納得のキャスティング
哀しき狂気の女田楽・毛野(あくまで女だった。最後まですごい綺麗だった)、「人の未来は見えるけど自分の未来だけは見えないんだ」っていう能力が仇となって毛野に殺されたしんべえ、毛野の刺客に次々やられていく他の八犬士たち。……のBGMで流れ続ける絶好調超!なたまずさの高笑い。なんだこの八犬伝…(震)たまづさ本領発揮しすぎてこえーよ、まじでこえーよ夢に出そう。

…というドシリアス展開の中、荘介がついに信乃に村雨丸を!

信乃「おぉ!忘れてた!!!!」

うん、そうだねwwwwwwwww完全に忘れてたよね1回も話題に出なかったもんねwwwwwwwここめっちゃ笑ったwwwwwwwwwwww


というわけで村雨丸を手にした信乃によって敵は次々撃退され(頭わきすぎて最後毛野がどうやってトドメさされたか覚えてないんですが、とにかく中村くんが美しくて美しくて美しかった)、浜路の姿をしたたまづさの怨霊も成敗されて(今回も元気よく血まみれになるふみ様)、はいめでたしめでたし☆

…なわけなくて(笑)。八犬士は信乃と荘介と道節しか残ってないし、今までこの記事内で触れるの綺麗に忘れてたけどたまづさサイドに寝返ってたゝ大法師も死んでるし、すごい展開だった……。ハッピーエンドにはしないと聞いてたけど、この発想はなかったわ…。凄かったのは、ここまでの展開になっておいて最後はカラッと明るく終わったところ。残った3人は、自分のために死んでいった浜路の体を自分で斬った信乃と、浜路だけを死なせて自分は生き残ってしまった荘介と、二人に妹浜路を二度殺された道節だから、全員が全員重いものを背負わされて生きる形になるのだけど、それでも最後はあくまでもカラッと前向きだから、「面白かったー!」って帰れる舞台だった。2幕こんなに面白いなら1幕ももうちょい頑張れた気がするけどww、終わりよければすべてよし、楽しかったよん。