風の果て

恋をしただけ それだけのことを

ストリッパー物語 9/6ソワレ@中野HOPE

2月の熱海スペシャルカーテンコールで一瞬だけやってくれた、ぐみちゃんの明美が大好きで。ぐみちゃん、ストリッパー物語やらないのかなぁと思っていた矢先の公演決定で、見るの本当に楽しみにしてた作品。キャパ70のちいさな劇場に、よく見る人たちとそうじゃない北区のファンの人たちと、劇団関係者と有名人がごった煮になった空間。こういう場所好きだ。

凄いよかったー。何もない素舞台で、でもしっかりしたセットや衣装があった三浦版とも、おそらく本家つか版とも、根っこは同じなのであろうストリッパー物語。見れてよかった。祐也くんが別人みたいだったなぁ。外部でお芝居してる祐也くんが大好きだから今回も期待してたんだけど、あの人はちゃんと役があって台詞があって…って場所に立つとぐんぐん光が増す。なおちゃんの歌も聴けたし。そして踊るぐみちゃんは、想像してたのの何倍も綺麗だった。見れてよかった。
ところでパンフで高野創さん太一祐也で熱海の稽古したことがあるって言ってるの、なんですかそれ。聞き捨てならないw早乙女伝兵衛にぐみちゃんが水野、創さんが牧田で祐也が大山って感じかな?太一は熱海ってイメージじゃないなーと思うけど、太一とぐみちゃんで組んだお芝居は1回見てみたいなぁ。さぞや美しい画が出来上がるだろう。


小説版や三浦版では後半に出てくる美智子が冒頭で出てくるつくりになっていて、だから大好きな明美と美智子のダンスパートがしょっぱな見れて嬉しかった。二人ともダンス綺麗だったなぁ。まなさんは凄く軽やかに踊れる人なのね。ぐみちゃんの華やかでダイナミックな動きと、まなさんの軽いステップの対比がとても美しかった。今回の明美はちょっぴり若いけど、蓮っ葉な語り口と男前ぷりはイメージの中の明美とぴたりとはまって、違和感なくセーラー服を着こなすまなさんと、親子ほど年齢の離れた二人にちゃんと見えた。声枯れちゃってたけど、明美に限ってはそのハスキーボイスの方が合ってたな。

続く祐也くん演じる学生さんとの場面は、三浦版でいうとこのマサキさんだと思うんだけど。三浦版見たときからマサキは祐也くんにやってほしいと思っていたのだけど、予想上に祐也くん似合ってた。まぁマコトも確かにあの中で誰かがやるなら祐也くんなんだろうけど、そっちは割といつものキャラに近くて。対して学生さんは、インテリくさくて面倒で、愛してるのにさらってくれない煮え切れなさや弱さと、それなのにさらってほしいと思わせる強引さと色気が共存していて、こんな繊細な役を演じる祐也くんを見れてよかったと思った。この人も幸せになってほしい人だなぁ。
マコトの方は、いつものバカでうるさくて一直線なキャラで。気が強くてかしましいなおちゃんのみどりとの相性も抜群でさすがの朱雀コンビでした。なおちゃんは歌もいっぱい歌ってくれて嬉しかったな。一座を出ていく場面、いつも見ている二人ががっつりキスしているのはなんだか見ていて気まずいというか、こっちが照れてしまったのだけど、マコトの首にぎゅっと回されたみどりの手が縋るようで、勝気なみどりの可愛さ健気さにきゅんきゅんきた。朱雀組でこんなに色っぽいシーンもいけるのね。

主役コンビ、明美とシゲさんは全部は書けないんですけど。小川さんがまーーしょーもないヒモがぴったりで!めっちゃ上手いのか本人の素質かwわかんないけど見事なヒモっぷりだった。お似合いのカップルだった。強くて、強がりで、脆い明美は綺麗だ。最後たちんぼになった明美が、落ちぶれたはずなのに妙に輝いて見えたんだよなー。ネオン街で、くるりとターンしてみせる元踊り子。あの場面が一番情景が浮かんだ。黒背景のちいさな舞台に、ちゃんと街の灯りやホテルの部屋が見えたもん。

ほんっとの小劇場って初めていったけど、あの手作り感はなかなかに好きだ。映画館でいうとアップリンクに似てるかな?VAMPもダブルスも被ってる日に見に行ったせいかあまり見知った顔はいなくて普段全然見ないような演劇ヲタのおっさんや、若い男の子が多いのが新鮮だった。




僚くんが、カウントダウン入ってるような気がしていて。いなくなっちゃうような気がしていて。本気で大衆やりたい人をあそこに置いておいてはきっといけないのだろうということをひしひしと感じる中で、現代劇を楽しそうに演じる二人にちょっと安心を覚えた。まだそこにいてね。せっかく好きになった劇団なんだから。そして誰がいなくなっても、祐也くんだけはずっと太一と一緒にいてほしい。そんな感傷も含めて、じんわり沁みたストリッパー物語だった。次も楽しみにしてる。