風の果て

恋をしただけ それだけのことを

残酷歌劇 ライチ☆光クラブ 12/19ソワレ@アイアシアター

年の瀬に、不可抗力的にアイアデビューをした。
結論から言うと、アイア意外と悪くなかった。よさこいとデモがなければ悪くない…というかたぶん、すごく「アイア向き」の作品というのが存在してるのかな。血糊はともかく、あのド派手な水演出を小劇場でやろうと思ったら機構の方が耐えられなさそうだし、日生や帝劇や新橋であれができるのは知ってるけどw何かと予算はかさみそうだし何よりライチの世界観ぶち壊しになる。アイアのあの安っぽいプレハブ感は光クラブの基地のセットに合っていたし、劇場自体は綺麗でロビーも広いので居心地は悪くない。だから、客としても割と快適だったし、作品としてはすごく良い組み合わせだったんじゃなかろうか、残酷歌劇とアイア。これがデビュー戦で良かった。

原作漫画も前作も知らないけど、河原さん×倫也くんなら絶対間違いないと思って観にいった作品。予想以上だった。なんだろう…本当に「気持ちよかった」が一番ハマる感想。終わったあとの心地よい疲労感と満足感。女中たちやつか作品の重量感のある満足じゃない、もっとポップでエキセントリック。最高。


本編の話。
楽しかった。ほんとに面白かった。まず客入れSEがずっとかっこよくてその時点でもうわくわくしたし、東京ゲゲゲイのダンスがふんだんに盛り込まれた演出はとてもおしゃれで気持ちよかった。もしかしたら漫画や前作のファンはもっと血糊欲しかったかもしれないし、私もそこはあってもよかったけどw、ギャグをほとんどなくしてダンスを盛り込んだオシャレ歌劇、最高だった。エログロの極みみたいな物語が、夜の渋谷でおしゃれに美しく展開される様がたまらない(ていうかこれ昼公演どういう気持ちで観るの?終わって15時の明るい渋谷の雑踏が広がってるの辛くない?w)。みんなちゃんと少年に見えたのがよかったな。あそこに生きていたのは間違いなく思春期の入り口の、14歳の男の子たちだった。
しかし最近永遠の繭期みたいな話ばっか見てんなwカノンがライチに「踊りましょうよ」って言ったとき、脳内でエターナルダンスが響いたわw

  • ゼラの話

倫也くん、綺麗だった。とてもきれいだった。小柄な体型も相まって、鋭利で神経質なガラスの14歳がぴったりだった。あと声がすごく綺麗だということに初めて気が付いた。眼鏡かけてても十分美しいんだけど、眼鏡はずしたらとんでもねー美しさだった。8列目だったから双眼鏡使わなかったんだけど、カバンから出しときゃ良かったってちょっと後悔した(笑)あのご奉仕シーン、映像でちらっとみた前作とは違って、玉座にゼラが座ってのガチでえっちな仕上がりになっていて凄くよかった。ジャイボちゃんは完全に客席に背を向けてるからゼラの表情しか見えないんだけど、ま~~えっちだった。でも二人の色気がとても上品なのであまり生々しくないというか、全体に作り物みたいな美しさなんだよね。
終盤、裏切りの恐怖におびえて、ジャイボに縋るゼラはとてもかわいそうで愛おしかった。しかしあれほどジャイボを「美しい」と称え、甘えていたくせに、カノンが手に入ったら「いくら美しくてもジャイボは所詮男だ」って言い捨てたゼラは意外と安心の男子だったな(笑)あれ聞いた瞬間、あーおまえ終わったわもう何されても文句言えねーわーって思ったもん。

  • ジャイボの話

驚きの美しさだった。…っていうとゼラに対する感想と一緒になっちゃうんだけど、こっちは中性的とか女性的とかいうレベルじゃない。女だった。色っぽくて、それでいてキュートで。媚びるような声も抜群に可愛くて。あまりにも可愛くて、ずっと見ていたかった。意味なく舞台の端とかに配置しておいてほしい(笑)薔薇の花をもって出てきたときの、薔薇とゼラとジャイボのスリーショットの威力たるや。ほんっとに色っぽくて可愛かった。最高だ。処刑のとき、いつもこの上なく楽しそうな笑顔で死にゆく仲間を見守ってたのも印象的だった。
あまりにも綺麗なジャイボなので、見せ場の「僕、もうきれいじゃない?」「僕ね、声変わりが始まったんだ。うっすらひげも生えてきたよ。」で本気でかわいそうになってしまった。14歳っていう年齢がリアルだよね。越えるの難しいよね、14歳…(成長期を越えられなかった数々の天使たちを浮かべながら)
しかし最後の最後のテーマ曲で、一旦死んで水の中で髪もメイクもぐっちゃぐちゃになったジャイボが起き上がったら、すげー男だったの衝撃だったわ。いや綺麗なんだけど。綺麗だけど男だった、想像以上に男だった。役者恐るべし…っていうか最後まで美少女モードではいてくれないのな…w

とりあえず結婚してくれ。
かっこよかった。すげーかっこよかった。アイアシアター抱いたのは間違いなくタミヤだった。そもそもがかっこいい役なのだけど、最後大量の水と一緒に現れたタミヤが完全に正義のヒーローで、水演出の興奮と相まって大変だった(私が)。いやーひっさびさに人が殺しあうシーンを満面の笑顔で見てしまったわ。すげー楽しかった。なにあれ完璧。ここ、倫也と玉置さんの一騎打ちだから、急にクオリティが1.5倍に跳ね上がる。お耽美もへったくれもない、ガチの演技力対決。迫力がすごい。ちなみに玉置さんにもマイクはついていたw後半、白シャツなのもよかったな。たった一人の、正義の白。

可愛かった(笑)可愛いオカマだった。カノンの髪を拭いてやるところの「ちょっと男子、どいて~!」が小学生女児みに溢れていて好きでした。池岡さんは化けるなぁ。ここ数か月で池岡株のインフレが止まらない。ちょっとした動きでもわかる身体能力の高さはさすがのひるこちゃん。
しかし池岡さんも一回死んでメイクも死んだら、ラストただの池岡さんだったのでちょっと笑いました。水芸怖い。

まとめてすまん。ダフとカネダはいわゆる若手俳優枠の子だそうで、ついったに載っていた舞台裏写真を見たら普通に綺麗めの若い男の子でびっくりした。こんな…こんな子にあのシーンをやらせたの……!!いろんなところからキャスト集めてるのに、よりにもよってここにあんなに生々しい自慰シーンやらせた今回のライチすげぇなと。体当たりだね。
ヤコブは、出演者全員把握していたわけじゃなかったので、まず加藤さんが出てることにびっくりして二度見した(笑)ハマリ役だったなぁ。デンタクは中の人が女性だったので、綺麗な高音が声変わりの少年っぽさとしていい味出してた。役の都合上、ビジュアルはぶさいくぽく作ってあるけど、ゲゲゲイのダンサーさんなので踊るとめちゃくちゃかっこいいし、殺されるときの骨を折られる動きが芸術的。
アインツニコは、存じ上げない方だったのだけどなかなかに壮絶だった。最後の便器のシーン、ああいう演出になるのね!舞台ってすごい(こなみ)

  • ライチとカノン

ライチとカノンのダンスシーンよかった~。原作だとどういうイメージなのかわからないけど、ライチの中の人が踊れるからあそこすごくかっこいい。ライチ切ないね。機械なのに、一番切ないのがライチってのも皮肉な話。カノンの、無邪気というより飄々とした強さも好きだった。座席が、最後カノンが立ち去るときに通る通路付近だったので、淡々と前を見据えて歩く姿が印象に残った。あとカノンの制服のスカート生地がずっと違和感だったんだけど、あれもしかして水対応?濡れてもくっつかないようになってるんだなーと、変なとこに感心した(笑)


年末の、クリスマスイルミネーション輝く渋谷の坂を下りながら帰るのが似合う舞台だった。聖なる夜の残酷歌劇。どうせならクリスマスイブに見たかったな(笑)綺麗な作品でした。2015年滑り込みヒット作。