風の果て

恋をしただけ それだけのことを

緋色八犬伝 2/4ソワレ@博品館劇場

行ってきましたー。久しぶりの八犬伝もの。4年ぶりかな…?え、倫也くんがやったのもうそんな前か!

RANPOのときのオープニングで脳内麻薬どばーってなる勢いを期待しすぎたのか、導入でいまいち集中できず、前半は笑いのシーンもうまく波に乗れず。「これは微妙か…?ハズしたか…?」と思ったんですが、中盤以降超よかったー!八犬士が容赦なく死ぬ方の八犬伝wだったけど、死んでいった犬士にも何かしら救いがあったし、希望のある終わり方でよかったなぁ。
話は全然変えてあるし、登場人物もオリキャラ満載でガチャついてるのに、ちゃんと八犬伝だったのがよかったなー。私がこの犬士はこうであってほしいという部分が思った以上に入っていた(笑)痣にも玉の文字にも触れられない、犬もほとんど出てこない八犬伝なのに、ちゃんと八犬伝だったよ。嬉しい。

以下、感想だらだら。


ざっくり設定としては、原作通り8人の犬士を集めて里見の国を守ろうとする信乃壮介丶大(今回は大輔か)がメイン。ただ、そこに玉とともに大輔に託された里見の血を引く姫君・城之戸が加わり旅をしている。悪側は玉梓船虫妙椿の妖の三姉妹wが、人間であり玉梓の夫として館山城の陥落を目指す素藤と、オリキャラかな?の舵九郎と手を組んで、仁義八行の玉を集めて妖力の復活と人間の滅亡をもくろんでいる、と。

城之戸がいるせいか、亀篠夫婦や浜路のくだりは一切なし。なので、その村雨丸どっから出てきたんや…って序盤はずっと思ってたw
八犬伝女子キャラ好きとしては、船虫と妙椿両方出してくれたのうれしかったな。さすがに出番は少なかったけど、妙椿はちゃんと術かけてたし、船虫は舵九郎との恋愛要素が素敵だった。あと、私は知らなかったのだけど、原作に政木狐って出てくるのね。緋色の柾木狐は、政木という少女として演舞一座にまぎれていた。小柄だけど強さのある子で、素敵だったー。若くて可愛いのに、「ばーさん」って呼ばれててもちょっと納得しちゃう貫禄があった。

  • 毛野と小文吾と女演舞一座

緋色の毛野ちゃん、ちょーよかった!一座の舞(まなちゃん演じる朱鷺座長のソロダンスがちょー綺麗)の中心から現れる毛野様ほんとお綺麗。舞では綺麗な女の踊り方だけど、普段はそんなに女性っぽくないさじ加減もちょうどよかったな。剣を握ると一気に雄化するのもたまらんかった。うえのぼりさん、SNSではお洋服関係で見かけることが多かったのでお芝居は初めて見たのだけど、殺陣も綺麗でかっこよかった。
朱鷺が小文吾に「毛野のこと、見ていてあげてくださいね」って言った時点ですでにウッとなっていたのだけど、そこから山場の小文吾の「お前、死のうとしてるだろ」に繋がったのぐっときた。言われるまでもなく、この人は本当に毛野のことちゃんと見ててくれていたんだなぁ。
毛野が、ちゃんと愛情注がれて、受け止めて、愛して上げれる子でよかったなぁと、倫也くんの闇堕ち毛野ちゃん大好きマンは勝手にクロスオーバーさせながらしみじみしました(笑)。最後の最後、毛野の方から小文吾の元まで寄ってったのが好きだった。来世で幸せになってくれ~。(とか言ってたらカテコ挨拶が運よく毛野小文吾回で、盛大にいちゃついてくださったので大変おいしかったです。ごちそうさまでしたw)

  • 道節としんべえと山賊チーム

超いいやつらだった、山賊チーム。リーダー格としんべえちゃんがめちゃくちゃ動ける。しんべえ役、かわいらしい子だったな。二刀流でテンションあがったわ。道節たけるさんは、安定のかっこよさ。
死ぬ間際の道節に自らの玉を託された上、そのあと源八と大角にも同じ事されたしんべえが「なんでみんな俺に託すんだよ!!」って叫んだ瞬間胸がぎゅっとなった。ずるいよね。若者に未来を託して勝手に満足していなくなるなんて、おっさんたちのエゴもいいとこだ。それでもしんべえは背負わないといけないんだよなぁ。とはいえ、最年少が生きて未来に繋がったラストは希望があってよいものですね。風を読むのが上手かったり、ちょっと不思議な、普通と違う勘の良さみたいなのを感じられるキャラクターだったのがとても私好みでした。

  • 源八と大角

主君素藤への忠義のため、最後まで敵方にいることを貫いた異色の源八。言われてみれば、そっちの方が自然なのだけど。素藤に忠義を尽くしながらも、本当は素藤を救いたいから、八犬士にも手を貸してくれる面白い立ち位置だった。大角は、妙椿の術にハマった定正(だっけ?)の家臣。ここの二人が今回唯一の対等な友情シンメだったかなぁ。瀕死の状態でも軽口叩いて笑いあう男2人、素敵だった。

  • 信乃と壮介と城之戸

あ~はいはい、元服までおなごの赤い着物を着て育てられた信乃様が、本当に女だったーってやつですね~了解です~~。
とか思ってたら、信乃と城之戸入れ替わり作戦によるもので、まさかの城之戸姫(のテイの多田さん)が本物の信乃様であり、かつ男だった。その発想はなかったわ…w女である信乃が、いかにも~な「男装女子」として描かれてるから、まごうことなく女子の見た目である城之戸が、実は男だなんて思わないもんなぁ。入れ替わりまでは察しがついたとしても。舞台ならではの演出で面白かった。
えけび周辺には疎いので名前くらいしか知らなかったのだけど、多田さんよかったなぁ。可愛らしいドルっぽい声なのに凛と通って迫力あってかっこいい。城之戸姫としての貫禄もあるし、男とわかってからの啖呵もかっこよかった。本物の城之戸から謝られたときの、「俺の今までがかわいそうだ!!」がめちゃくちゃ好きですね。男である自分を殺して、八犬士である自分も殺して、里見の姫として生きてきた人。
壮介役の松本くんも、舞台で生で見るのは初めてかな?さすが殺陣が上手いぜ。身長もあるし、華やかでよかった。

  • 妖の三姉妹(命名私w)

玉梓が迫力満点でちょーかっこよかった!人間を滅ぼしたかったのに、人間である夫の素藤をどこかで普通に愛してしまっていたのが玉梓の、ただの怨霊で済まないところだなぁ。杏さんの貫禄の玉梓と、みくちゃんの柾木が対等にやりあってるシーンも滑稽でよかった。負けない柾木役の子の迫力が良い。
船虫は連ドラのお色気枠みたいだったけどw、自らの手で舵九郎にトドメをさしたのはかっこいい悪役女の鑑だったなぁ。妙椿は割と終始きゃっきゃしてるだけでしたが、その割に出番は多かった印象。もうちょい大人設定でほしかったけど、末っ子感出したかったのかな。



すべてが終わったラストシーン、八犬士の物語で売れっ子作家になった壮介が、城之戸が城主となった館山の地元に帰ってくる。
登場人物の手によって物語として語り継がれていくラストはタフスタ舞台でよく見るパターンだったけど、毎度のことながらこれが好き。「あの本に出てくる城之戸はどっちだ?」ってからかわれるくだりがほほえましい。
カテコもわっちゃわちゃで可愛かったよ。良いものを観ました。