風の果て

恋をしただけ それだけのことを

ディスグーニー「SECOND CHILDREN」6/14マチネ@ブルーシアター

ラスト、「SECOND CHILDREN」。
これが一番好きかもしれない。一番集中して見て、一番泣いたのはジャーニーなのだけど、ディスグーニーの演目として好きなのはセカチルかなぁ。萩野さん、西田さん筆頭に、メインどころが古参主要メンバーたちで、その中に相馬くんと安藤さんがぽんっと混ざっているのが好きだった。とても可愛らしい、幸せの形をどうにか見つけてほしいと願ってしまう二人。

たまたまここしか見れる日がなかったから初日にしたのだけど、カテコがとっても素敵だったので、初日に見れてよかった。ド新規なので、こっち界隈に足を踏み入れたのはちょうど相馬くんが休業に入るか入らないかくらいの時期で。ずっといないのに、やたら存在感のある人で。だからここで、ようやく、ダブルカテコで挨拶する相馬くんを見ながら、この人のお芝居見れてよかったなぁと思ったりした。全員で一礼した後、まさしさんの肩口にじゃれつきながら捌けようとする相馬くんとても可愛かったし、そこを西田さんにつかまって、メインのお二人に挟まれて三人でお辞儀していたのも微笑ましかった。良いものを見た。
ちなみに萩野さんは1回目のカテコで締めの「本日はまことに、ありがとうございました!」を自分が言わねばならないことを把握しておらず、総ツッコミされたのち、ぐずぐずな感じで締めていた。可愛い。

そういえばこの日は客席開場が遅れていて、15分切るくらいまでロビーに人がわらわらしていたのだけど。
平日の真昼間、半分も埋まらないくらいのお客さんたちと、元気いっぱい物販を回すキャスト陣(よーじろーさんがめっちゃ元気に客をさばいていたw)の熱気と距離感が妙に心地よかった。終演後のすみだパークみたいになってた(笑)


3本目ともなるともはや聴きなれたテーマ曲のあと、ド頭で西田さんにぶん殴られて、そこからのダイジェストがただただ美しくて、OPから「あ~~~私が見たかったのこれだ~~~」ってぞくぞくした。この興奮が欲しくて、文句言いながらも坂道歩いてるとこある。春、夏、秋を語る声に合わせて切り替わっていく照明と虫の声が綺麗だったなぁ。

…なんだけど、1幕はだいたい萩野源内と西田玄白がふざけてるので、OP以外はひたすら笑ったり呆れたり呆れたりしているうちに過ぎ去ってしまった。跳ね下駄(別名ドクター〇松)の時点でだいぶ笑ったのだけど、そのあとも丸めた紙屑をぶつけ合うおじさんたちとか、りらっくまのぬいぐるみを抱えたおじさんたちとか、あ、これずっとおじさんがかわいい話なの???(違う)。あとこの強そうなおじさん二人に、好き勝手やられているまさしさんも大変キュートであった。前二作がかっこいいまさしさんだったので、ギャップで耳キーンってなりそうだった。

そんな中、時々挟み込まれる麓郎と奏雪のシーンが、甘くて切なくてきゅんとした。相馬くんはでっかいのに薄っぺらいから、長い手足を折りたたむと妙に小さくて危うくて、その姿が薬にぴたっとはまっていた。そして奏雪はめちゃくちゃ可愛かった。リアルお人形さんだ。

あとは、良子さんの啖呵にほれぼれしたり、人形浄瑠璃の稽古のくだりなげーーーーーな!?とか思ってるうちに1幕は終わってしまった。冒頭のズシンときた衝撃ほぼほぼ忘れたわ。嫌いじゃないよ、こういうとこw


で、ガラッと変わって二幕。ネタバレは…書かない方がいいんだろうか。いつもはブログだと書いちゃうんだけど。
麓郎の恋の行方も、奏雪(人間の方)の末路も、兎杏と甲斐彦のやりとり(壮絶だった)も、もちろん明かされる源内のあれこれも、全部しんどくて涙も出なかったわ。凄い話だなこれ…。正直源内がやったことは途中で想像がついてしまうのだけど、それでもなおそこから派生して起きる出来事がこう…いちいち打撃が強くてね。圧倒されたわ。泣くために用意してたタオルを、ひたすら握りしめながら観てた。

そんな中、どんどん言葉数が増して表情豊かになっていく麓郎が、一筋の希望みたいで好きだった。私はあの麓郎のラストシーン、ハッピーエンドの方向に流れるとは思えなかったし、むしろ一番しんどいだろこんなの…って思ったけど、それでも一応光はある終わり方だったんだろう、たぶん…?ともかく、凄く綺麗だった。
あと山海丸と恋人ちゃんには幸せになってほしいですね…山海丸、バカで荒っぽいけどめっちゃいい彼氏…。

エンドルフィンの時も思ったのだけど、西田さん萩野さん良子さんあたりでガツっとした芝居してるのを見てる時間の、幸福指数というか有益さというか、お値段以上の厚みのあるものを浴びている感覚が本当に好きだわ。贅沢な空間だったー。

結局のところ、彼らにとってのエレキテルとはなんだったんだろう。日本人をきっと幸せにしたのであろう世紀の発明品は、彼らに何を与えたんだろう。……みたいな話もしたいので、もう1回観たかった。いつかまた再演してほしい。