風の果て

恋をしただけ それだけのことを

デジモンアドベンチャーtri.第6章「ぼくらの未来」

tri.シリーズ完結、おめでとうございます。そして全章完走したおたくのみんなたち、本当にお疲れ様でした。

第一報が15周年のデジフェスだったから、トータル5年近くこの企画と喧嘩したり喧嘩したり和解したりまた喧嘩したりしてきたことになる。
あの世界中で一番エモい1分半動画が投下されてから4年と9か月。長いようであっという間だった。
昔は翌週の放送までの1週間が永遠にも思えたのに、今じゃ半年先の次作公開があっという間にやってくる。デジステの台詞で「もう6年」という言葉が頻繁に使われていて、小5から高2までの長い長い6年間のことを眩しく思い返したりしたのだけど、大人の5年間はバカみたいに一瞬で過ぎ去った。

「八神太一、17歳、高校生。」
なんて甘酸っぱい響きだろう。2005年、17歳の夏。私も17歳だった夏。
www.youtube.com
(この瞬間がみんなが一番幸せなときだったんじゃないかとか思わなくもない)


人生で最初にインターネットを使っておたくをやったジャンルが、デジアドだった。家庭にインターネットが普及し始めた20世紀の終わり、ド田舎の子どもが東京と繋がれる世界が突然始まった。
私の出身地、フジテレビ見れないんですよ。他県に単身赴任してた父親が録画して送ってくれるのを楽しみに楽しみに待っていた。インターネットの向こう側で繰り広げられるデジモンにまつわる色んなイベントごとは、とても遠いものだったけど、そもそもそんなものが存在してること自体、それまでは知る手段もなかったから、いろんな情報が入ってくるだけでも楽しくて楽しくて仕方なかった。
それが今じゃ当たり前に新宿のド真ん中でtri.を公開日に見れるんですよ。憧れの場所だったお台場だってすぐ行ける。ゆりかもめだって何故かしょっちゅう乗ってる(笑)私にとって、大人になるってそういうことだ。手が届くはずもなかった遠い遠いものが、当たり前に手に取れる。

そんな中で、またあの子たちに出会えてよかった。楽しかったんだ、凄く。ずーーーーっと楽しかった。
しょーもない大人になった私の元におくられた、大人になりゆく彼らの物語。


毎回「なんでそうなるんだよwwww」って思ったし虚無の心で画面を見つめたことも何度もあったし、ツッコミどころは星の数ほどあって、正直全編デジステのスタッフで作った方がみんなが幸せになれたんじゃねーかとかまぁ色々…凄く色々あったんだけど!それでも楽しかった。高校生になったあの子たちが動いて喋って、新しい物語が作られて。毎年やってくる8/1になんとなく思い出を掘り返しながら、じんわりずっと好きでいるんだろうなぁと思っていたものが、現在進行形で時間が動いてる喜び。なんだかんだで結構泣いたし、毎回バトルシーン夢中で見てたし、あぁ私は呆れるくらいまだこの子たちのことが好きなんだなーって毎回再認識できたし。
舞台がめっっっっちゃくちゃ良くて最高に楽しくて、永遠の8/1から出たくなくて、ブルーシアターの緑地帯でうるさいくらいに鳴いていた蝉の声さえ愛おしかった去年の8月。いくら2.5次元戦国時代つったって、今更デジモンが舞台になるなんて思わないし、まして私の可愛いヤマトくんがしょーへいになるなんてもっと思わないじゃないですか(笑)。夢みたいな空間だった。


そんな数年分のクソエモい気持ちを全力で込めて挑んだ第6章。
私好きだったよ、tri.の太一とヤマト。あの容赦ないラストも、変にハッピーエンドにするよりよかったんじゃないかなぁと思う。もともとあんまり優しい展開じゃないしね、デジアド自体が(笑)思いっきり大人向けに作るならこのくらいやりたかったってことなのかなぁ。真面目にツッコミ始めるのキリがないので、好きだったところだけいくつか抜粋して感想など。(特に使わないならなんでわざわざ四聖獣引っ張り出してきたんだってとこだけは一生ツッコミたい)(まじで何のために西島と姫川はいたのか)

  • ヤマトとガブモンのラブシーン

…って前夜祭で呼ばれていたあのシーン(笑)ここが好きすぎてもう満足した!!おっけー!ってなったとこある。ここの関係性好きなんだよねぇ。ピュアで重くて(笑)

「太一の代わりができるのはヤマトだけだよ」「世界だって救えるよ」は何も子どもたちの中で太一のポジションを引き継げ、みたいな話じゃなく、5章ラストでヤマトが受け入れきれないまま終わった「メイちゃんを殺して」に対する発言なんだよね。きっとヤマトとガブモンの中ではあそこでもう決まってた。だからアグモンの「僕は今進化できない。だから」に対して「覚悟はできてる」「ヤマトはちゃんと考えてるよ」って答えになるんだ。そもそもは仲間を殺すという決断を下す役割は太一が背負うはずだっただろうし、その実行だってオメガモンだったら二匹でわけ合えるけど、太一がいなくなったらそれ全部ヤマトとガブモンに乗っかることになるから。 (ここのアグガブの信頼関係もスゲーなと思うんですけど)戻ってきた太一の「終わらせるぞ、俺たちで」でヤマトは当たり前のように臨戦態勢だったのが初見で引っかかったのだけど、ちゃんと見たらたぶんそういうことだなって。

第一章からずっと太一の賢さが好きで。本当に聡い子で、世界を救うヒーローになるにはもういろんなことが見えすぎていて。だからこそヤマトが良くも悪くも持ち続けていた「子どもの強さ」はこのシリーズの希望だったと思ってる(だって高2にもなって、あんなにまっすぐ世界を救おうと出来る人いる!?w)。そのヤマトが、この追いつめられた状況で強制的に大人になりゆく展開があまりにエグくて、5章のラスト見たとき本当に落ち込んだんですけど。その前に、ちゃんと泣ける場所があってよかったなぁ。そういうシーン入れてくれてよかったなぁ。

最後の最後、一瞬怯むのもヤマトらしくてよかった。あそこでちゃんと躊躇するのがヤマトだし、その手をノールックで叩く太一と、それだけで自力で立て直したヤマトは「大人になった太一とヤマト」の描き方として大好きだった。もうお互い逃げないように手を繋がなくてもいいんだなぁ。(それにしたって背負ったものが重すぎるけど)

  • 八神兄妹の話

5章で「かっこいい太一が帰ってきます」って言われたとき、もっと吹っ切れた気持ちいい復活の仕方するのかと思ったら、全部受け入れて飲みこむえげつない成長の仕方してたので、もうこれどう転んでも太一が幸せになる終わり方しないなと思ったんですけど(笑)
トドメを刺しに行く瞬間、あの状況下で太一だけがものすごく落ち着いた表情でまっすぐ前を見据えてるの、世界を救うために悪魔に魂を売ったというか、所詮歩むは修羅の道…(CV天海祐希)というか、踏み込んじゃいけない領域に行った人だなって顔していたので、あの子この先どうやって健やかに大人になっていったのかとても気になる。

救う道を考えてほしいといったヒカリに対する「俺を恨めばいい」と、ヒカリの「お兄ちゃんを許さないと思う」は、ネクストステージ行った八神兄妹だったなー。八神兄妹って結構聖域的なイメージがあったので、制作陣は該当担に夜道で刺されないように気を付けてほしい…などと思いましたけど(笑)
許さないと思う、って言いつつ戦うことを選ぶのは、救う道がヒカリにもわからないからなんだよね。結局現状をどうにかするためには殺すしかないってなったときに、ヒカリに与えた、現実を飲みこむための優しい仮想敵。ブチ切れながら戦いに挑むヒカリちゃんは、とても好きなヒカリちゃんだった。強いヒカリが好きだよ私は。

  • 影の功労者・光子郎

世界を救った男、光子郎。最後おいしいところ太一とヤマトに持っていかれちゃったけど、現実世界のリブートを食いとめたのは間違いなく光子郎だし、なんならその前にデジタルワールドリブートしたのも光子郎なので、ほんと全人類は光子郎に感謝しなくてはならない。
太一がいなくなった中で、光子郎だけが諦めずかつ冷静に現状を打開する策を探し続けたの、さすが参謀というか一番弟子というか。ヤマトにしろタケルにしろそうなんだけど、太一不在の中でみんながそれぞれのやり方でその穴を埋めようとしていた感じはデジアドっぽくて好きだった。誰か一人が主人公にならない物語(と言いつつ最後太一さんが全部持っていくんだけどw)

  • タケヒカの話

全章通して小出しにされては焦らされてきたタケヒカ夫婦漫才がここへきて突然爆発したので、何が起きたのかと思ったwコミュ力高くてモテるくせに、なんかいろんなことをのらりくらりとかわしてちゃんと向き合わない感じだったタケルが、ここへきてようやく真正面からヒカリにぶつかったというのに、タイミング悪すぎて本人に全く届いていないの、脚本へたくそかよ!!!!となったんですけど、あれは何なの。どうしたらいいの。お題メーカーだと思って、あれを元に各自で広げたらいいの?w


…とかなんとかありつつw、書いてるとキリがないのでこの辺で。
最後見納めでもう1回くらい見に行こうかなぁ。4週目ってレイト以外もやってくれるだろうか。ポストカード欲しい。