風の果て

恋をしただけ それだけのことを

おぼんろ「キャガプシー」5/20ソワレ@キャガプシーシアター

4年ぶり2度目のテント体験。
夕焼け空も、終演後の暗い公園も、原っぱに転がるキャガプシーたちも、全部丸ごと愛おしくて美しい空間だった。

ついったーでは「昼がいいよ」という評判を多く見かけたのだけど、どうしても暮れる前後を体感したくて18時公演のチケットをとった。夕暮れ時好きなんだよね。月髑髏やってた頃、行くたびに17時半時点の関東荒野越しの東京タワーを撮り続けてたんだけど。1月の終わりごろからちょうど日が沈むタイミングと被るようになって、毎回凄い綺麗な写真が撮れていたのを思い出した。(とか言ってたらちゃんともがまだ天蘭蔵出ししてきたんだけど、月髑髏マジでいつ終わるの)


刻一刻と暮れていく時間帯。導入部で目を閉じて、しばらくして開いたら一段階暗くなっている。隅から隅まではっきり見えるオープニングから、徐々に暮れていって、ふっと照明が絞られたとき、真っ暗になっていることに気が付いた。終盤の森のシーンの暗さが良かったなぁ。



葛西臨海公園駅から会場までの間、お出迎えしてくれる子たちが可愛かった。
可愛かったけど、通りがかりのカップルの彼女の方が「え、宗教的な何か…?」って呟いてたのが面白かったです。まぁそうなるよね。会場付近行ったらもっと凄いの転がってるよ…生首とか(笑)


テントの内装も語り部たちの衣装も超可愛くて、前半明るい間はそういうとこじっくり見れるのも楽しかった。ウナサレが超!可愛くて!和柄の生地をつぎはぎした衣装も、カラフルネイルも色あいがポップで元気。ツミの和装にブーツも好みだったし、トラワレのフリルとレースふんだんに使ったお洋服なんて、ずっと見てても飽きないと思ったわ…でかい綺麗な男がフリルにまみれてるの最高だな…(性癖にクリーンヒット)


序盤からウナサレがずーっと無邪気で愛らしくて、それでいて一番強くて。本当に見ていてニコニコしてしまう。初演の末原さんバージョンも見たかったなぁ(と思うが、当時知ってたとしても、11月のテントに行くガッツはたぶんなかったな。寒いわ。)
キャラクターとしてはツミが一番好きで。めぐみさんのよくとおる声が綺麗で、歌もうまくて耳に心地よかった。あとネズミとの絶妙な関係が好きで。あぁこの二人にどうか幸せが訪れますようにと、自然に祈ってしまうような、そんな二人だった。ツミが、世界はどう?って聞くことで、それを教えることで救われるのは、きっとネズミの方なんだろう。
トラワレは最初あまりに美しいのでちょっと台詞が頭に入ってこなかったんですけど(笑)。いやぁ…綺麗だった。ビジュアルもだけど、なんかもう、存在が綺麗で見惚れてしまった。ガラス細工みたい。

後半辛い展開が重なるので、内心「うわぁ…うわぁ……」となりながら見ていたのだけど、そこから打開策が出来てハッピーエンド!とかじゃなく、本当に小さな小さな光が差して、希望が生まれて、どうにか幸せになろうと進むようなラストだったのがよかった。灰色の雲が地面まで垂れさがるような世界でも、その雲の上には満天の星空が広がっているように、この世界は美しい(かもしれない)って、嘘でもいいからそう言って生きようとする世界というのは、やっぱり美しいのだと思う。

終演後、真っ暗な帰り道、観覧車とテントだけが明るく光っていて、テントから聞える音楽がだんだん遠ざかっていくのがひどく幻想的だった。
素敵でした。都合つけて、昼の回も観に行こう。テントが開くあのシーンで、青空が広がってたら泣いちゃいそうな気がする。