風の果て

恋をしただけ それだけのことを

共同幻想繭期体験

ミュージカル「マリーゴールド」8/28ライビュ

平成最後の繭期、皆様いかがお過ごしですか。
TRUMPシリーズ初のライブミューイング、つまりは全国一斉繭期。しかもスイッチャーは繭期絶対殺すマンことすえみつおじさんご本人。そんなの見に行くしかないじゃん。神の視点によるマリーゴールドじゃん、地獄かよ。いやどの道地獄なんですけど。

本当は自分の目で見てからライビュに臨みたかったのだけど、東京楽のチケットしか持っていなかったのでライビュが初見になりました。日比谷、スクリーン2つ使ってるのに売り切れていてびびった。凄いなぁ…。終演後、パンフ販売に結構な列が出来ていなのはもちろんのこと、ロビーのソファで即封印を解いてむさぼるように読む繭期の民たちが散見されていて笑った。わかる…わかるよ…。
あとライビュということで、各ジャンルからお越しのはじめての繭期なお客様たちが多かったので、終わったあと各々気になったキャストを調べながら感想を述べあうのが聴こえてきて楽しかった。観測範囲では足が5メートルあるコリウスさんがぶっちぎりで話題になっていらっしゃった。


何を書いてもネタバレになるので、未見の方はここから先読まないでください。私も普段ネタバレ平気で踏むタイプだけど、今回は本当に何もかもがネタバレだしどこで死ぬかわかんないから。「燃える」「しぬ」「とんちゃんの足が5メートル」くらいしかネタバレなしで書けるとこないから。


というわけで、以下ネタバレ。感想というより、次回観劇に向けての情報と確認点の整理。

なんかもうさぁ……ひとの心がないとかいうレベルじゃないよね。一周回ってギャグだろ、こんな残酷に次ぐ残酷。しかも神のスイッチング、アップで映し出される登場人物たちの一瞬の表情ひとつひとつを完璧に抜いてくるんですよ。パッと切り替わった瞬間映るソフィの顔が毎秒天才で、改めて三津谷のすごさを感じたし、この強キャスト揃いのミュージカルという形のTRUMPシリーズで再びソフィを演じられるのは三津谷しかいないと思ったわ。

変な話、このシリーズにおいては「〇〇が死ぬ」って業務連絡よりも、ド頭の台詞が「色彩を失った森の奥深くに」であることの方が遙かに繭期に与える打撃が大きいのではないかと思うんですが。事前に聞いていた通り、今回は終始リリウム勢がサンドバックのように殴られ続けていてすごかった。えぐい。
実はライビュ前日くらいに「ウルはキャメリア」っていうのを踏んでしまい(うっかりが過ぎる)、ということはつまり、このソフィはあのソフィ、しかも疑似クランで可愛い女の子たちをたくさん集めていたあの時代のソフィ。となるとガーベラはやはり……

と思っていたら、マリーゴールド花言葉が「絶望」っていうもんだから、あーーーーーマリーゴールドだ。この子は間違いなくマリーゴールドだ。希望の名を捨てて、絶望を背負ってあのサナトリウムにやってくるんだ…と序盤からお通夜気分であった。花言葉の中にしっかりヒルガオまで入ってるの怖い。


ソフィの話
ファルス誕生前にソフィを演じたみっちゃんが、2800年後の疑似クランを生きるあのソフィとして帰ってきた。それだけでも盛り上がるというのに、30過ぎたみっちゃんはびっくりするくらい違和感なく美しき繭期の少年の姿を保っていて、それもそれで怖かった(笑)私は歴代ソフィ(といってもD2版とNU版しか見てないけど)の中でまひろソフィが理想形なんですが、みっちゃんは動きが綺麗で中性的だから、まひろソフィ、くどうファルスの系譜にしっかりハマる雰囲気を纏っていて、全然違うキャストが演じているのに「ソフィ」が間違いなく地続きで生きていることを感じさせてくれてよかった。噛んだあと口元を拭う仕草がお耽美で、とてもみっちゃん(笑)
ウルごっこ中のキャメリアを連れまわすやんちゃな感じや、ダリちゃんにまとわりつく様は無邪気さ、残酷な笑顔はファルスに近いのに、ウルのことを「友達、だった」と言った瞬間あの頃のソフィの顔をするのはずるい。みっちゃんは凄いなぁ…(刀ステ以来1か月ぶり)

キャメリアに歌をせがんだ時、一瞬「繭期の子守唄」がくるのかなと思ったんですよ。でもキキとキャメリアの立ち位置違うしなぁ…なんて瞬時に色々考えていたら、「闇夜に月の翳りが」って聞こえてきたので映画館の座席に沈むしかなかった。ライビュなので周りも比較的冷静だったのだけど、ここで結構な人数が息をのみ撃沈していく気配があったわ。ここで…ここで星の轍…。クランの生徒たちのシルエット、NU版と制服が違っていてよかったと心底思った。あのぼくたちが通い詰めた六本木のプレハブ小屋という名のクランで見た制服があそこに並んでいたら、繭期の状態が芳しくないなどというレベルの話ではなくなってしまう。ここが一番キたなぁ。そしてアンジェリコちゃんはシルエットでも主張が強かった(笑)

次点はガーベラの「永遠なんて、くそくらえだ!!」です。あの瞬間、私も内心ソフィ並に叫んでいた。ゆっソフィの「永遠なんて、くそくらえだ!!」、大好きだったんだよ。
ソフィがガーベラに言う「君は僕であり、僕は君なんだ」は、対ガーベラというより対ウルなんだろうなぁ。もちろん、誰からも愛されず、繭期を越えることもできないダンピール、という意味ではソフィ自身に近い存在なんだけど。大好きなたった一人の親友であるウルに、かつて自分が言い放った言葉をそのままぶつけられるのしんどすぎるじゃん…。

しかし改めて、刀ステで悠久の時を生きる三日月の孤独を抱きしめたみつばみさん、同時進行で稽古場ではこのソフィやってたんかい、と思うと改めて業が深い。


他色々(雑)
・歌が上手い。全員歌が上手い。
・めいめい、スタートが若すぎていつまで経っても何作出ても10代なので混乱する。本当に永遠の繭期を生きているのでは。
・とんちゃんの歌が正しく使われているのを初めて見た。こっちもこれでまだ23歳なんだから恐ろしい。
サブカル寄りのインテリメガネ、長身、歌うま、シングルマザーに恋する年下の編集担当者、という性癖のデパートコリウスさん。
・もっと嫉妬に狂って暴走するかと思ったら、最後いい奴だったので普通に不憫だったし、あそこで犠牲になっちゃうあたりが人間種だなぁ。
・あとコリウスさん人間とは思えないくらい強かったんだけど、2800年ちょっと遡ったらご先祖に生命力の強いダンピールがいたりしません?(笑)
・今回、人間がメインにいるので割と感情が自己よりも他者に向けられていて、えぐみが増していた。ヴァンプちゃんたちはみんなそれなりに身勝手だからまだ見ていて楽なんですけどね。
・出版社のみなさんのダンス可愛い。

・ヤン・フラ(吸血種)とアナベル(人間)の子がガーベラ。ガーベラはほぼ確実にキキ(とグレコ?なの?)の子孫。ということは、フラ家の誰かの子孫とキキの子孫がどこかでくっついた?
・ゲルハルトに兄弟がいるとか考えづらいけど、親族の誰かの子なんだろうか。
・フラ家の末裔がダリ・デリコを名乗る人間とくっついてしまうという、おたくにとってはラッキースケベ的な何かが発生してた。
・生まれた子どもに「希望」を名付けるの禁止したい(ここ、スーとウルのシーンと完全に同じ構図でしたね)

・ヤンがクランに連れてこられたとき、すでに紫蘭と竜胆がいた。
紫蘭と竜胆は二卵性の双子(…って初出だよね?)
紫蘭と竜胆はかつてホフマンの元で、マーガレットと一緒にいた(毎度おまけ短篇のインパクトが強い)(「同時上映・ピカチュウのなつやすみ」みたいなテンションでこんなもの出さないでほしい)
・この時点ですでに何度か燃えていそうなサナトリウム
・我守護のスティグマが最高だった(スティグマではない)

・トドメの一撃「共同幻想ユートピア
・カテコで屍の山にまだ刃を突き立ててくるんだからほんとあんたの血は何色なんだよ
・映画館でスクリーンの向こう側から流れる共同幻想ユートピアを聴く体験、まさに同じ幻覚をみんなで体感しているかのような感覚に陥るので怖い。
・カタカナとミュージカルが苦手な私が2時間40分苦痛なく観れたのでマリゴは凄い。


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