風の果て

恋をしただけ それだけのことを

坂の上のエーリアン/Flow Flow(Toチーム) 1/24@シアターノルン

楽しみにしていたシアターノルン。迷うかと思ったけどバス使ったら簡単だったしすぐ着いた。大学病院の通りから50mくらいなので駅からは遠いけど便がいい。今回のセットはちっちゃい円形劇場みたいな感じに組んであって、円形のステージの正面に一段高くなったひな壇。それ以外270度分はぐるっと客席がとり囲んでる(ノルンは舞台も客席もないフラットは箱なので、演目によってセット自由に組める)。何人入れてたんだろう…かなりギリギリまで詰めて大入り。HOPEよりはだいぶ広い印象なので、入れようと思ったら100くらい入るんだろうな。

客席見渡したけど、知ってる人はいなかったなー。Go公演に龍規が来ていたようなので、ニアミスで残念(笑)


【坂の上のエーリアン】
江戸川乱歩の「人でなしの恋」をいじったホラーファンタジー。冒頭、照明が点いたら小山君が一人立っていて、序盤は小山くんがストーリーテラーとなって話が動き出す。どこ行っても思うけど、北区の人は素人が聴いてもすぐ北区だってわかるなぁ。(あとどうでもいいが小山くんは顔がロマ様似だと思うw)

偶然骨董品店の前を通りがかった青年(小山くん)は、美しい生き人形(瑠李ちゃん)に魅了され、この人形を買い取りたいと懇願する。そんな青年に、店の主人(柴木さん)は、「この人形はね、二人殺してるんですよ」と人形に惑わされ死んでいった男たちの話を始める……。

ってストーリー。人形役の瑠李ちゃんが本当にお人形さんのようだった。真っ白な肌の大部分が着物で覆われてて、顔の部分と手先だけが見えてるのが逆にえろい。白い肌に濃い青のお着物が映えて綺麗だったー。声も可愛いし。柴木さんはガオレンジャーだったらしいんだけど、見ても全然思い出せなかった。お芝居上手くて聴きやすいし、若手公演の中で芯になる人、という印象。
オチは、すべて店の店主が作ったお話でした~ってやつなんだけど、ショートショートっぽい話で普通に面白かった。何も考えずに楽しく見れた。

軽くカーテンコールした後、セット転換のために5分ほど場繋ぎで柴木さん(と旦那役で出てた山口くん?)でおしゃべり。千穐楽は前売り完売だけど、明日の昼はまだ若干あるよーと。


【Flow Flow(Toチーム)】
何がびっくりって、いきなり自転車に乗った女子高生が入ってきたのがびっくりした(笑)ロビーと段差なしの地続きのつくりだと、こんなの出来るんだな。
現代を生きる女子高生(八木さんって女優さんだそうな。ちっちゃくて可愛い)が、海辺のバス停でたたずむ奇妙なおじさん(すぐるさん)の昔話を聞くテイで話は進む。現代と、おじさんの回想と、人魚伝説の昔話が入り乱れる構成好きだった。昔話のシーンはアンサンブルが語り部になって歌ったり踊ったりしてくれるんですが、この歌が凄く頭に残る。北村まりこと、あと背の高い男の子が小林くんかな?が歌凄く上手かった。

そのアンサンブルシーン、和服に裸足で踊るのが凄く見慣れた姿で、くるっと後ろ向く瞬間の動きとか、あたりまえだけど変わってなくて、踊る野田が見れたのはちょっと得した気分。が、その直後、水色の布持ってぱたぱた~やり始めたのが完全に滝沢歌舞伎のお七のとこの赤布と一致だったのですげー面白かったです。まさかこの野田をここで見るとは!!何度やってるかわかんないくらいやってる布芸だけど、優也ちゃんはあの頃と変わらぬ優也ちゃんであった(笑)
そんな感じだったのでアンサンブルシーンは割と見慣れた方の野田だったんだけど、中盤、ヒロインゆりちゃんの彼氏役で出てきた優也ちゃんは凄いよかった。大江戸の時も思ったけど、優也ちゃんの声凄く聞きやすい。すーっと入ってくる。松本りさちゃんが可愛くて上手なのもあって、切なかったわぁ(そうそう、りさちゃんのレトロワンピが全部可愛くていい目の保養だった)。300年生きてる、不老なのだとゆりちゃんが打ち明けた場面、それでもいいよって健気に寄り添うタダシ良かった。とっさに理解なんてできなくてどうしたらいいかわかんなくて、でもゆりちゃんだけは繋ぎ止めなきゃっていう感じがして。ゆりちゃんをぎこちなく抱きしめるタダシ可愛かったよう。そのあと結局逃げ出して、記憶消されるとこも、普通の人間ぽくてよかった。たぶんこの話に出てくる「普通の人」の代表がタダシ。あ、どうでもいいけど、優也ちゃん耳にかけたサイドの髪をヘアピンで止めてて可愛かったです。


人魚伝説のところは、人魚の子役のりえちゃんがすっごく可愛かったのと、お宮役の子(どっかで見たことある気がするんだけど記憶違いかなぁ…)の迫真の演技が怖かったのが印象的。無邪気な人魚の子を殺してでも、自分の子を救おうとしたお宮。「おばちゃんの顔、鬼みたい」って言う人魚の子の台詞が残酷。
そこからつながる、ゆりが記憶を思い出す場面(ここも布部隊登場w)、原案の童話でも人魚のおかーさんが怒って我が子をさらった人間を殺しちゃうんだけど、Flow Flowではお宮のことだけ殺して、ゆりのことは途中で止めて逃がすんだよね。我が子をさらった人間は憎くても、わが子の血肉が注がれたその人間の子は殺せなかったってことなのかなぁ。人魚でも人間でも、おかーさんはおかーさんだから。ここの、輪の中で舞うりさちゃん綺麗だったなぁ。

終盤、偶然ゆりとタダシが再会する場面。何も覚えてないタダシは怪訝な顔して立ち去るのだけど、そんな姿を、泣きそうなのにどこか嬉しそうに見送るゆりがよかったなぁ。ちなみにこのシーンのタダシはカセットウォークマンを聴いてる。他にも聖母たちのララバイとか、ディズニーランドとか、時間軸の変化に合わせてちょいちょい時代がわかるもの入れてきてたのが好き。
こっちの話もオチはおじさんのつくり話でしたー!で終わるんだけど、坂の上~と違うように感じたのは、こっちは「本当に作り話なのか」に疑問が残るように終わってるところかな。もしかしたら、ゆりは本当にいたんじゃないかって思わせるような終わり方。


面白かったなー。どっちもそれぞれ楽しかった。Flow Flowは最初あの狭い空間にアンサンブルがいっぱい出てくるからちょっとうるさく感じたけど、後半役割がはっきりしてくると気にならなくなる。せっまい空間で、THE演劇!みたいなの見れて気持ちよかった。また機会があったら、今度は違う形のシアターノルンも行ってみたい。