風の果て

恋をしただけ それだけのことを

COCOON星ひとつ 5/21マチネ、5/26ソワレ@サンシャイン劇場

東京公演お疲れさまでしたー!という記事を書き上げないまま、大阪公演が始まってしまいましたが。
東京楽、めっちゃくちゃよかった。千穐楽らしく、日替わりはじめ細かいところで遊びの要素が多めに入っていたのも楽しかったし、ラストスパートの熱量が21日の比じゃなくて、改めてTRUMPめっちゃ面白いな!!と思った2時間5分だった。

以下、感想つらつら。全然まとまらなかったので、思ったことをただ書き連ねている。
月の感想はこちら



ウルを軸にしたTRUMP 10th Anniversaryとしての走馬灯みたいな作品。
21日初見のときは、染様のターン以外は正直ジェネリックTRUMP感が否めなかったんだけど、楽はあのでかいプレハブ小屋みたいな僕たちのクランに通っていたときの感情で見てしまった。久しぶりだな、この気が狂いそうな感覚wなんか、あーーTRUMPだなぁと思って。まぁそうなんだけど(笑)これをフルサイズでトゥルリバしながら見続けたらそりゃー気が狂うわ!と思った千秋楽だった。すごく、TRUMPを見た!!って気持ち。グランギニョルやマリゴの大人たちの話にはない、この毎公演変わって毎公演最高を更新していくめちゃくちゃな熱量が、繭期の子供たちメインの話の面白さなんだよなーーー。

文字通り「ウルの物語」で、ウルが産まれてからあのクランで死ぬまでを再編成して追いかける、「あの日描かれなかったTRUMP」。リバースとはまた違う裏TRUMP。キャスティングが年々豪華になっているので、ドリームキャストTRUMPという感じもあり。全員ガチで殺陣が上手い編成で見るとまたちょっと印象が変わりますね。萬里の正体わかってからの怒涛の殺陣とか、超面白かった。ソフィウルシンメ殺陣で流れる新曲も凄く好きだし、あのくだりとクランフェストのシーンはもう1回くらい生で見たかったな。(しかしグランギニョルに引き続き、輪廻夜想を聴くと繭期の具合が一気に悪くなるわ…w)


TRUMPになかったシーンとしては、開始3分とラスト10分で客をボッコボコにする染様のダリちゃんが圧巻だった。あのオープニングはずるいだろう。あそこだけちゃんとグランギニョルの衣装なのもずるい。2年前の夏のラストシーンから繋がる、ウルが生まれてからの物語。そして、クラウスとソフィがいなくなった後の物語。ソフィがいた孤児院のシーンも含め、新規シーンほぼダリちゃんが担ってるので、その時々でダリとゲルハルトがどういう動きをしていたのかまで知れてしまって、知れば知るほど地獄という、無限の地獄絵図だった。いやしかしダリちゃん……つらい…つらいな。
新キャラがほぼいない(孤児院の院長とかちょっと出てくるけど)ので、キャスパレの時点で誰が誰だか次々とわかってしまい、そりゃビジュアルも配役も出せないよな…となった。まさかTRUMPもう一周見せられるなんてねぇ。萬里の隣にスペクターの衣装が置かれていたのはさすがにびびった。

  • ソフィとウル

D2版ではまだ存在しなかった「可愛い女の子をたくさんだ」というセリフを、ついに三津谷ソフィが聴いてしまった。
「なりたいな」まで言わずに終わる、輪廻が発生しないTRUMPなので、かつてTウルだったみっちゃんは、ここから先はずっとソフィだ。可愛い女の子たちを集めたクランを作って、マリーゴールドを経てリリウムに至る、ファルスになるソフィ。マリゴの時もいったけど、もうこのシリーズ最後は三津谷とちゃんじんと鞘師で殴り合ってもらうしかないと思う(笑)

ウルは初見時点ではNU版Tベースの印象で、つまりゆっウルを思い出しながら観てたんですけど(笑)。26に見たときは完全に「しゅーとくんのウル」として見れてよかった。動けるし「男子!」って感じだけど、柔らかくて大人しい面がちょっと強めに出ているのは、これがウル視点の物語であることと、イニシアチブの存在が前提としてあるからかもしれない。
月はまとわりついてくる不安の現れのように見える時が多かった陰翳ちゃんたちが、星ではただなんとなくそこにいてふわふわしてる、ウルのおともだちみたいで可愛い。書庫のシーンも最初の方はぴゃっと隠れてソフィの動向伺ってるんだけど、いつの間にかそこで一緒にいるようになるので、ソフィとウルと陰翳ちゃんたちが書庫でゆるっと過ごしてるのなんだか微笑ましい光景。そういやエミールも端っこで一人で陰翳と遊んでるときあったよね。

ラストの追加シーンの話。クランを焼き尽くした業火が収まるまでどれだけの時間がかかったのだろうか。あの科学が発展しない世界で、それだけの火を消す技術がそうあるとも思えないし、自然鎮火を待つしかなかったんだろうか。その時間、ずっとウルを守っていたんだろうか、死ねなくなった身体で。望んでもいないまま手にした不死の力を最初に使ったのが、ウルを守ることだったのか。そうか。

月を経て見る星のラファアンめっちゃしんどいですね。NU版時点のコクーン匂わせ演出の数々もなかなかにアレだったけど、今回のこの人格の二人で見るとまた違うしんどさがあるな。ラファエロ、ウルを守りたい気持ちはある程度自発的に持っていた前提として、NU版の我守護はそれに加えて「父の期待にどうにかして応えなければ」という焦りや責任感が爆発したのかなという印象だったけど、今回はもうだいぶ前から追い詰めに追い詰められているので、あそこで完全に何かの糸が切れた感じあって怖かったよ兄さん…。ダリ卿に失望したぞって言われた時の反応が、月で「お父様には言わないで」って懇願してた時の姿と重なるのでつらい。見捨てられると思ったんだろうな。
アンジェリコ様は月星通してひたすらにさみしい子どもだった。あんなにさみしくて愛されたくて、でも最後までどうにもならなかった子の手に左右違う手袋がはめてあるの、愛おしいや微笑ましいって感情じゃすまないでしょ。「アンジェリコを待ちながら」、めっちゃ心温まる小話なのに、このタイミングで出してこられたら辛さを増幅させるだけでしょうが!ハートフルストーリーをより多くの血を流すための道具に使うんじゃない!w
でもジョルモロは本当にまとめて抱きしめたいよね…おまえたちがいてくれてよかった。アンジェリコちゃんのプライドで生み出した主従関係だもんねぇ。逆に言えば、それだけの関係性を築き上げてきたのにあそこでイニシアチブ使われたジョルモロの驚きはどれほどか、ということにもなるが。

あと千秋楽後にふと、詳細は伏せられるにしても名門特級貴族のご子息が3人いっぺんに亡くなったニュースはヴァンプ界を駆け巡っただろうし、越繭して上級議員でもやっているであろう2人の耳にも当然入るんだよな、なんてことも考えて。クランで過ごした日々の最後の方に突然現れたあのイキったがきんちょ2人と、出会ったことのない"ウル"のことを、クランにおいてきた友情とともに思い返したりするんかな。3年後だとディエゴはもう生きてないかもしれないし、箝口令の敷かれた事件のことを覚えているの、結局2人しかいなくなっちゃうんだな。

とかまぁ色々ありましたけど、すべてを吹き飛ばす勢いでアンジェリコフィーバーがすごかった。煽りの声とか入らない分、ただただアンジェリコ様に屈する時間だった。しんたは天才。

  • 萬里

ゆーやくんが何役なのか全く想像ついてなかったんだけど、まさかの萬里だったし、歴代の中で最も綺麗めビジュアルの萬里だったので、それが萬里だと認識するまでに毎シーンちょっと時間がかかった。超可愛い。萬里らしい口と態度の悪さと、ぱっと見のかわいらしさのミスマッチが好き。
全然慣れあわないし、そもそも「潜入」ですらないあからさまに怪しい転入生なんだけど、まーービジュアルがいいし動けるしで、好きな要素しかない。保護者同士でギャンギャンしてるのをソフィウルが止めに入るシーンで、割と高身長でガタイのいいデリコ兄弟と、小柄で女の子みたいなソフィと萬里の対比が可愛くて好きだった。あの見た目で、ちっちゃい子たちの方がメンタルはバキバキに強いのがよい(笑)

あと逃げるソフィを助けに来てくれるところで「世話の焼けるクソガキだ!」を投入してきたのずるかったなー。「姉さんに似てるな」も、ラストの「死ぬなソフィ!生きてくれ!」も、この人はただただあの日の赤子を守るために萬里としてクランに来たのだなぁというのが滲んでいて。今回の萬里の最期、今までよりずっと好きだけど、ずっとつらい。
「姉似のソフィ」は、ソフィの気の強さは確かに母親のそれだよなと思って毎回ちょっとほっこりする(笑)

  • ダリちゃん

グランギニョルでもずっと言ってたけど、染様がこれ以上ないベストキャスティングで、あの美しさあの身のこなし、あの異常な芝居の上手さに加えて、日替わりのヤバさがまさにダリちゃんで内心ずっとスタオベしてたわ。染様にあのシーンでダーリちゃーん!出来るの超嬉しいし、フリル着るために生まれてきたのかってくらいフリルと裾が広がるコートがお似合いだし、とにかく日替わりがやばくて私の大好きな染様だったw

26の日替わりでは、「本当はお前にはまだ早いんだけどな」って言いながらウルを椅子人に座らせていて。「ぼくはふつうの椅子の方がいいです…」ってつぶやくしゅーとウル含めめっちゃ面白かったけど、あれを横で見ているラファエロを思うと、おにーちゃんにもやらせてやれよぉぉぉぉぉという気持ちもあり(笑)。ラファエロ別に椅子人に座りたくはないでしょうけどw、そうやってさぁ、パパがウルばっかあからさまに可愛がるからさぁぁぁぁぁ。(なお、この日のダリちゃんの暴走にはさすがの荒木さんもちょっと笑ってしまっていて可愛かった・笑)

東京楽の最後のダリちゃんのシーンが本当に良くて。グランギニョル東京楽の「負けるな」も絶品でしたけど、今日のウルの遺体を抱きしめながらの涙声の「負けるな」がどこまでも悲しかった。ダリちゃん、あんなに人たらしで賢くて冷静で何でもできるのに、なんで子育てだけは壊滅的に下手なんだ。あんなに愚息どもを全力で愛してるのに、なんで1ミリも伝わらないまま両方失っちゃうんだよ。あそこで「ソフィが守ってくれた」って察してくれるの、ほかの人に比べてクラウスのことをよく知ってたからあの状況を想定しやすかったのもあるとは思うんだけど(あそこまで詳細にアレンの話を本人から聞いてると思わなかったわ)、なんだかんだで、ダリちゃんって優しさはある人なんですよね。伝わらないだけで。びっっっくりするほど伝わらないだけで(伝わってないので意味ない)。

あとダリちゃんのセリフの中で、裏でアンジェリコちゃんの暴走の後始末をしていたゲルハルトが登場するのがまたねぇ。ゲルハルトは実際のところアンジェリコのことどう思ってたんだろう。デリコ家のように厳しく育てることがなかったのは、自分自身が父親のせいでああなったのもあるだろうにしても、そもそもフラの家名のためにアンジェリコを産ませちゃった人だからね。妻も息子も愛してはいるんでしょうけど。いるんだけど、ダリ以上に伝わらなさそうだしなぁ。うーん、厄介w
真実が明らかになればなるほど、ダリちゃんとゲルハルト様が父親としてほんっっっとにダメなんだけどw、そんなダメな父親二人が、ウルとアンジェリコの出生の秘密だけは徹底して守り抜いたんだなぁということが切なかった。月でも星でも、不自然なくらいそこだけは徹底して触れられないんだよね。今のところ、グランギニョルを見る以外にあの二人の親のことを知る術はないんだもんな。


他にもまだ5000字くらい書きたいんだけど、さすがに長くなりすぎてるから一旦ここまで。
月がボディーブローのごとく効いてきていて、隙あらば月の話したいモードなので、その辺と合わせてもう一つくらい記事書くかもしれないwグランギニョルもマリゴもそこまでどっぷりいかなかったから、久しぶりの重めの繭期超楽しいですね。

なつのお題箱