風の果て

恋をしただけ それだけのことを

「改竄・熱海殺人事件」モンテカルロイリュージョン 3/14マチネ@紀伊國屋ホール

春です!つかです!熱海です!
おめでとうございます!!元気な熱海ですよ!!!!

延期中止無観客配信の荒波の中、つかこうへい演劇祭第二弾「改竄・熱海殺人事件」は元気よく…本当に元気よく幕を開けた。こんなにも心から「初日おめでとうございます!」を叫んだのは久しぶりだ。

発表段階から2020年一番気の狂った最高の演劇が観れる場所として(私周辺のごく限られた層から)圧倒的な期待を集めていた改竄熱海、コロナという予想外の敵の出現により、「この状況下でまだ生き残っている貴重なエンタメ」としてさらに事件性の高い面白演目になってしまった。別に「自粛要請」なんだから従わなくても何の罪もないんだけど、そこらへんがひじょーーーーにめんどくさいお国柄なので、こういう時期に、この状況下で、よりによってこの作品がまだ踏ん張っているというのはそれだけでも大変な興奮がある。大好きな春の紀伊國屋ホール、おそらく相当な頑張りでもって成立させてくれたであろう今年の熱海は希望だ。あとはあっくんのロンゲが無事に始まってくれることを祈るばかり。あっくんを紀伊國屋の0番に立たせるまで、絶対に死ぬなよ紀伊國屋ホール…!!

しかし14日夜のあずみ初日と梯子するという狂気のダブルヘッダーが叶わなかったことだけが残念だな…。初日初回のりゅきさんの「時は戦国!」をこの耳で聞きたかったのになw



さてモンテ、マイ初日にして公演3日目。
土曜夜ということで比較的客入りはいいはずだけど、やしきさんでこのメンツで熱海にしては明らかに人が少なくて、こんなさいこーーーのエンタメに人が入らないなんてこの国の文化はいよいよ滅ぶんじゃないかと心配になってしまう。手持ちの公演が次々ダメになって寂しい思いをしてるおたくたち、みんな紀伊國屋においでよ。「絶対に上演してやる」という強い意志で迎えてくれるから。
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モンテの公演は2017年の北区版を一度見ていて、あとは去年の朗読発表会でのほぼぶっつけ本番初回を見たのみ。なので本来の戯曲との詳細な差異まではわからないけど、随所に「やしきさんっぽさ」が織り交ざられた、まさに「改竄」熱海を見せつけられた気持ち。

宣言通りめちゃくちゃ歌ってるんだけど、歌いながら捜査は戯曲通りに進むし、なんならスタンダード熱海より全体尺短く収まってるという謎に仕上がり。細かいとこ色々カットされてるし説明が少ない分冷静に考えるとわかりにくかったり繋がらなかったりする部分もあるんだけど、なんか歌のパワーで乗り切れてしまう妙技。ふざけてるわけではなく割と本気で「なるほどこれがヒプノシスマイクか」と思った。ヒプノシスマイク、シンジュクディビジョンに実在した。


細かい感想はもう1回観てから書くとして(最後まで上演してくれよな)、雑感だけ。

劇中曲は往年の歌謡曲や演歌中心だしなぜか上海や二十三夜も残してるのに、クライマックス付近でいきなりレディ・ガガが響き渡るのが超やしきさんっぽかったな。
岡村版に比べて照明も音楽も軽めでポップな中で、たわちゃんの軽妙なお芝居で進むモンテは通常時より頭を使わずに笑える仕上がりのようで、油断してるとクライマックス手前の二十三夜からものすごい圧で殴られるので気を付けたほうがいい。いや、その前の部分も十分凄いんだけど、終盤がそれまでの比じゃないやしき濃度。
3公演目にしてスタオベできたのが嬉しかったです。こんな日々に、こんな良いものを上演してくれてありがとうの気持ち。

  • 木村伝兵衛

朗読劇時点からすでに完成されていたモンテのたわちゃん部長、本公演ではより一層仕上がっていて最高だった。ピンクのフリルシャツがちょーー似合ってて、ぱっと見普通に綺麗で可愛いのがずるい。終演後に「阿部ちゃんの部長は脱いでたけど今回脱がないね」という話になって、あのボタン全部止めたショッキングピンクのフリルブラウスこそが今回の性癖が煮詰めに煮詰められたエロスだなぁと思った。パンツの裾から覗く靴下までドピンクなのか、本物の変態にしか用意できませんよあんなの(賛辞)。どうでもいい話も書いておくと、ラストの十三階段でのピンクのつなぎ見て、「こんな脚の部分が長いピンクのつなぎ、松ステ以外で出会うと思わなかったな」って考えてしまったことはちょっと反省してる。F6も真っ青な脚の長さ。

なんでも歌えてしまうので、鉄板DESIREを筆頭に思った以上にたくさん歌ってくれる。ゴマンとある日本の歌謡曲の中で、こんな短期間に狭い範囲でカモメが飛んだ日を再び聴くことになるとは思わなかった。そんなに渡辺真知子のピンポイントな需要あります?w個人的に好きなのはDESIREと津軽海峡冬景の一番難しいところ。
初めてモンテを見たときに、モンテの部長は牛松なんだなぁと思ったのを思い出して。たわちゃんはあんなに綺麗でスタイルがよくて陽キャなのに、牛松側がやれる人なんだな、ということを考え始めているのでこれは楽日までにもうちょっと捏ねたい。

  • 水野/アイちゃん

以前見た時に水野(とアイちゃん)の比重が大きいなと思ったんですが、そこに完全にキマってるはるっぴさんがくるので痺れましたね。なんだあれ…。
声も小さめだし身体も華奢なので序盤は全然迫力ないんだけど、アイちゃんのターン入ってからまーーーじのヤバい女が紀伊國屋のスポットライトに照らされて現れるので怖い。絞殺シーンで机の上でのけぞってるのちょっと神々しい美しさだったもんな。あのアイちゃん殺そうと思ったら、そりゃその辺のひよこ俳優じゃ無理だわ。鳥越さんクラスが召喚されるの納得だわ。
鉛の球に青春を奪われたアイちゃんの叫びをアイドルだった女の子が演じるの、アイドルオタクとしてもぞくぞくした。

  • 速水

いかにもやしきさんとこの若手俳優!って感じ。露出狂の狂チームは見れてないんだけど、あの中にいたのが容易に想像できる。シンプルにイケメン。あとたわちゃんに負けないくらいドレスめっちゃ似合ってる。最高。
14昼はしゅーじくんのせいで部長のお水がこぼれちゃうハプニングがあって、鳥ちゃんに延々突っ込まれていたのが愉快でした。ハートが強そうなので今後の暴走…じゃない、成長に期待。

  • 金ちゃん

金ちゃんは割とスーパーサブ的なポジションを鳥越さんがつつがなくこなしてた印象だけど、いざ金ちゃんメインのターンに入った時に突然やたら上手いやつが出てきてびびる。あと身体能力が無駄に高い(笑)まだまだ余力ありまくりな感じだったので、後半戦でもっとギア上げてくるかな。
こういうごりごりのストプレの鳥ちゃん好きなんだけど、あの姿だけ見てると刀ミュの安定がどこから出現しているのか改めて不思議になるな…。


なつのお題箱