風の果て

恋をしただけ それだけのことを

黑世界「雨下の章」 9/22マチネ(生配信)

黑世界、無事開幕おめでとうございます。
おかえりリリー。そして、リアルタイムでは初めまして。

10代~成人にかけての女の子にとっての6年なんて一生のうちで一番変化に富む時期のはずなのに、久しぶりに現れたリリーは映像の中で見たクランの少女の姿ほぼそのままだった。2年前マリーゴールドで見た三津谷ソフィが、あのファルスを綺麗に取り込んだようなソフィになってたのもだいぶ怖かったけど、こっちもこっちで怖い。ありがとう鞘師、美しい少女のまま戻ってきてくれて。

雨下の観劇はだいぶ先になってしまうので、先に配信で。途中何度か止まったりしたのもあっていまいち入り込み切れないところも多かったけど、そこは劇場で見るときに解消されるのでまぁよし(私が行くまで上演が続いていますように…)
ちなみに見終わって最初の感想は「ひとのこころがある」だった。これがshared TRUMPの世界…。


言うまでもないけど全面的にネタバレしてます。

雨下・日和通しての導入部。眠り続けるリリーが見た両親の幻想と、目覚めたリリーが旅に出るまでの物語。エツ子が演じるリリーのイマジナリーフレンドが、エツ子にしか出来ないポジションで「なるほどなー」だった。リリーの幻覚、なので新キャラといえば新キャラなのだけど、初期からある意味で「ずっといた」エツ子がリリーと200年の旅をする物語なの、良いな。凄いさらっと「チェリー」の名をもらっててびびった。

リリーの夢?の中の両親がめちゃくちゃまともで優しくて暖かいご家庭だったんですが、リリーが都合よく捏造しているのでなければ、ヴァンプ社会にもあのような家庭が存在するのだな…という新事実ですね。そんな幸せな家庭で育った子がよりによってあんな目に……。
血盟議会に追われるリリーを助けてくれる?謎の男シュカ。充がキャスティングされてる時点で絶対普通に歳を取らないキャラクターだろ!となるので、2時間ドラマの犯人役がキャストでばれるときにような様式美を感じられて良かった(笑)

  • 第2話:ついでいくもの、こえていくこと

石職人のホオズキ親方と弟子の物語。
各話冒頭がだいたい旅を続けるリリーとチェリーの掛け合いなんだけど、マントに帽子の旅姿のリリーがとても可愛い(ミニ丈のワンピースも超可愛いよね。あれ凄く好き)。気が強い女の子同士のおしゃべりがたくさん見れるのも今作のいいところ。
「永遠に壊れない橋を作る」という人間側の台詞と、石造りの橋が壊れるような年月が過ぎてもなお生き続けるリリーの対比。人間が語る「永遠」は儚いなぁ。14,5の少女が5年も同じところにいたら、姿が変わらないことバレるんじゃないかなと思ったけど、ホオズキ親方は気づいてても触れずにいてくれそうだな。
しょーたろーは相変わらず上手い。

  • 第3話:求めろ捧げろ待っていろ

開始2秒で「やしきさんだ!!!!!」となる問題作(笑)。明らかに様子がおかしいのだけど、繭期の具合が云々というよりただシンプルにやしきさんがおかしいので凄い。一応リリーもだいぶ繭期の具合がよくない感じのテンションにはなっているけど、それを遥か超えて狂った人間たちが織なすアッパー系血みどろギャグ回。狂気。
「繭期の妄想だったら方がよかったと思うくらいのヤバい現実」という話なのですが、そもそも中屋敷作品は常日頃から繭期の妄想よりヤバい話しか出てこないので、ある意味ですごく通常営業。そんなやしきさんが池ぴで好き勝手書いた脚本に、すえみつさんがノリノリで乗っかりました!という感じで最高だった。すえみつさんがずっとやりたがってたアイドルパロがこんなところで実現するとはw
池ぴは文句なしよかったし、後ろで踊る鞘師のプロアイドルっぷりも観れるし、ゴリゴリのヒールで踊るエッちゃんも観れる。良き。鞘師は1回本当にやしき作品に出てみてほしい。

ところで黑世界に出てくるヴァンパイアハンター、まともなやつがいないんだけど、年月を経るごとにヤバいやつしかいなくなってんのか?TRUMPの良心ことピエトロが見たら泣くぞw

  • 第4話:少女を映す鏡

旅先で出会った老女の姿をした繭期の少女と、彼女によって鏡の中に閉じ込められたリリーの物語。
人の5倍の速さで歳を取る、老女の姿の15歳の少女。長年「永遠の時の中」を描いてきた作品で、ここにきて人より早く時間が過ぎる繭期の少女が出てきたの面白かったなー。恋を知らずに年老いた少女と、恋をすることすら忘れた永遠の少女。真逆の二人の鏡合わせ。凄く好みのお話だった。
しょーたろー、歴代キャストの中で最も多種多様な繭期の少年を演じているしょーたろー。例によってクランから脱走してきた繭期の少年役として出てくるのだけど(相変わらずガバガバだな、クランw)、登場時の雰囲気がちょっとオズに重なった。

この時点で第1話から50年経過した設定らしいので、リリウムからだと+150年なのかな?

  • 第5話:馬車の日

これ超面白かった。最初ループものかと思って身構えたんだけど(末満脚本じゃないのにw)、どっちかというとミステリーでしたね。作家さんの本領発揮だ。
息子の幻想を求め、見ず知らずの子どもを「ヘーゼル」として育ててクランに送り出そうとする狂気の母親と、母親のためにクランから脱走してきた繭期を生贄のごとく用意し続ける本物のヘーゼル。この話のラスト、仮に末満脚本だったらどういう展開になったんだろうな(マリゴのあのラストを思い出しながら)

「ヘーゼル」がしょーたろーから池ぴに変わる流れ、配信だと2回目はちょうどヘーゼルの顔が隠れるような角度で撮っていて、然るべきタイミングで池ぴの顔が映るのが見事だった。しかしそんな簡単に脱走してきたクランの少年たちって補充できるものなんですか。年間何人逃げられてるんだよ。

  • 第6話:枯れゆくウル

シュカの正体と救済の物語。
発表のとき「ねぇタイトル!!!!!」ってなったけど、思いの外いい話…というか救いの話でびっくりした。救われる人、いるんですね……。シュカ、1話で冗談として我守護を口走ってはいたけど、正真正銘彼は「見ている」だけで、ちゃんと100年間リリーを見守ってくれた人で、だからこそこのラストにたどり着けたんだろうな。

リリウムでのあの事件、普通にギルドにも報告されて結構ちゃんと調査されてるんだな。何百年も表沙汰ならずに来ていたのに、どうやってバレたんだろう。お薬もしっかり回収されてるし。
ソフィが生み出した「ウル」、ここで使い切られるんだなぁ。

不死者に対する非人道的な実験の話、前にどこかで呼んだ記憶があってもやもやしてるんだけど、TRUMPシリーズだったのか他の作品だったのか、それさえ思い出せない。あの実験の話ってどこかの短編で出てたっけ?


配信でも話は面白いんだけど、やっぱ集中力が続かんな~と思ったので、来週の観劇が楽しみです。早く生でライザさん見たいw

なつのお題箱