風の果て

恋をしただけ それだけのことを

9Project「熱海殺人事件―1973初演版―」@新宿スターフィールド

いつかもう一度見たかった初演版、また見れて嬉しい!
初演熱海、とてもシンプルな犯人大山育成物語なので、教材として定期的に上演してほしい。解像度が一気に上がる。
前回はちょうど月髑髏の真っ最中で、紀伊国屋ではたくみとあつきのW金ちゃんが誕生していて、要するに見なきゃいけないものがめっっっちゃある時期だったので、無理やり1回ねじ込むのがやっとだったんですよね。今回は脳がバターになっていない状態で見れてよかった(笑)

2チーム制ということで、Bの初日を現地で見たあと、Aは配信で見ました。Aも生で見たかったけど土日他の現場が被ってたのでちょっと厳しいものがあった。でもAは前回ほぼ見てるメンツだし(ゆうやは初だけど、ゆうやの熊田既に3回は見てる気持ちなので…w)、あとどう考えてもよしきの大山が好きなので、Bを現地で見ることに。絶対事件性高いでしょ、Bチームw


というわけで最高に面白かったチームB初日と、安定のチームA配信視聴分の感想。チームBは千穐楽も見たかったな~~。

  • 11/12ソワレ チームB

「シンプルな大山育成物語」であるこの作品の大山を、まじで何者でもないよしきがやってるのが最高によかった。仲道くんはさ、「そういう大山」を演じるのが上手いじゃないですか。でもよしきはさ~よしきはま~~~じでまだ何者でもない大山なんですよ。怒涛の勢いで台詞を交わす伝兵衛と熊田とハナちゃんの真ん中に放り込まれておろおろあわあわしているうちに、「大山金太郎を一流の犯人にする」という伝兵衛の筋書に飲み込まれていく愛おしい存在。
このチームの大山、言ってしまえば影が薄いんですよ。3分の2くらいまでは他の3人の印象ばっかり強くて「大山ってこんなに喋んなかったっけ?」って思ったし(多分台詞量は一緒なんだけどインパクトが弱い)、お芝居だってダントツ拙いんだけど、だからこそリアルな「大山を育てる」物語をそのまんま観れるのが面白い。私はこういう、大山役が毎日伸びていくのを観察できる熱海が好き(笑)あと顔が結構可愛いので、浜辺のシーンがそこそこ映えるのが良い(笑)

これまでシュっとしたいけすかないインテリの伝兵衛ばっかり見てきたので、でっぷりしたおじさんの伝兵衛っていうのも新鮮だったんだけど、これもかえってわかりやすいというか、あぁ伝兵衛って本来こういう人なんだなろうなって。こういう食えないベテラン刑事が、三面記事どまりの殺人を犯した大山少年を導いてあげる物語。OPでシュっととんでいくハットも、青や紫のアイシャドウも、水野婦人警官とのきゃっきゃうふふも全部ミスリード要素なんだよなぁ(それを考えると、あんなに高身長イケメンなのに圧倒的童貞力だったあっくんの伝兵衛は親切だったなw)

熊さんの熊田(ややこしい)は、今まで見た中で一番「この男のために富山で死のうとした女はいるわ」って熊田だった。絵に描いたような田舎のエリート。絶対モテる。初演は富山の女のくだりないんですけど、それでも絶対故郷にこの熊田のために死のうとした女は絶対いる。最後ジャケット着崩して煙草咥えるの、普通にかっこよくてきゃーー♡ってなっちゃったもんな。リア恋の熊田。
あとシンプルに身体が強い。物理で強い熊田。それはそう。

そしてこのチームBの影の主役ハナちゃん。慣れてない組み合わせでの初日を見たせいもあると思うんだけど、こっちのハナちゃんはめちゃくちゃ仕事する。なんならハナちゃんが一番馬力あるくらい、ハナちゃんの印象が強い。9Proメンバーからただ一人の出演者として場を引っ張るぐみちゃん、かっこよかった。


あと恒例の前説がぐみちゃんとよしきだったんだけど。スケブめくり担当のよしきがほぼ何もしゃべらず、ぐみちゃんの話に合わせて一生懸命スケブをめくっているので、だんだん入社2週間目の新卒社員と仕事のできるトレーナーみたいに見えてきて微笑ましかった。よしき…可愛いな…。一回スケブをめくるタイミングを掴み損ねてぐみちゃんに「めくって!」って言われてて、本編始まる前から抱きしめた。

  • 11/14マチネ チームA(配信)

カンフェちゃんがリンクの遷移先設定ミスってて配信画面に飛べなくて、同日にカンフェで配信してた他の作品のログインページからURLコピって書き換えて…とかやってたら冒頭15分くらい見逃しました。アーカイブあるからセーフとはいえ、頑張ってカンフェちゃん…wおたくは忙しいんだから、アーカイブ見る時間取れるとは限らないのよ。

こちらはメンツも作りも前回に近いので、あぁこうだったな~と思い出しながら見た。パワーバランスが均等というか、よく見る熱海殺人事件のバランスで成り立っているAチーム。9Proメインコンビの掛け合いがよどみなくて気持ちいい。息ぴったり。
大山に対するハナちゃんの態度が全然違ってて面白かったな。Aの方が「婦人警官」という職業として犯人大山に接している気がする。Bはもはや普通によしきを育てていたので…w
で、前回からのキャスト変更、ゆうやくんの熊田。これまで熊田やってなかった方が不思議だよ。イメージの中の「ゆうやくんの熊田」がそのまま実体化して現れた感じ。熊田はこの作品の中で「一番普通の人」に近い立ち位置なので(実際そうでもないんだけど)、ゆうやくんの親しみやすさがマッチしててよかった。この熊田は富山に女おいて来れなそう(女を捨てるか否かで熊田を評価するな)
配信だったのでどうしてもダラダラ見る感じになっちゃったけど、それでも見れてよかった。


そういえば自粛期間明け初の小劇場観劇だった今回。客席のパイプ椅子の間隔がややあいていて、精一杯舞台と最前の距離を取っていて、それでもまぁキャパ100や200の劇場でやれることなんてタカが知れてる。そんな中で飛沫まき散らしながら乱闘バリの芝居をしてるの、危険だ!と言われればそうなのかもしれないけどさぁ。それでもここにしかないものが、ここでしか経験できないものがあるから、人は劇場に来るんですよね。

見慣れたスタッフさんたち、見覚えのあるお客さん、2年前と同じあのセット。ちゃんと帰ってこれてよかったなぁ。
全公演無事終了お疲れさまでした。1週間経って何事もないので、きっとこのままあと1週間も切り抜けられることでしょう。切り抜けてくれ。


なつのお題箱