風の果て

恋をしただけ それだけのことを

黑世界「日和の章」 9/22ソワレ@サンシャイン劇場

お久しぶりのサンシャイン劇場
馴染みの劇場に一つ一つ「ただいまー!」してる気分になる最近だけど、サンシャインに関してはそもそも行く機会があまりないので、もしかしたらコクーンぶりかもしれない。
客席半数の割にそんなにお値段高くないのに(朗読劇とついてはいるけど普通に2時間芝居してかつ歌ってるので、妥当かなって)、入場特典でマスクくれるの太っ腹ですね。さすが大手。

というわけでこちらは初回から現地観劇。やっぱ劇場ですすり泣き聞いてこそTRUMPって感じするよね!w
でも、こちらもリリーを取り巻く人たちが暖かくて、切ないことも悲しいこともあるけどそれでもリリーがどこまでも強くて光であり続けるので、こういうTRUMPもあるんだなぁと。ソフィと同じ道にはいかないという徹底した意志が感じられるリリー、よかった。
「ソフィだってたかだか200年かそこらだったらまだ優しい心あったかもしれないじゃん!」と一瞬考えたんだけど、そもそもあの子は生まれ育ちからリリーと全然違うんだよなぁ、というのが切なくもありつつ。


これ日和から先に見た人、何の前触れもなく「チェリー」という幻覚が現れるのびっくりして死んじゃわない?(笑)雨下から100年経っても変わらずチェリーと旅しているリリーはなんだかほっこりする。幻覚とはいえ、自分の脳内で自分で生み出してる気楽な関係のイマジナリーフレンド、いいな。生涯唯一の親友を他の男の子にイニシアチブ発動させてまで再現させてる誰かさんと…違って……。
冒頭からバッドトリップの申し子こと紫蘭と竜胆が登場してくれて可愛い。リアル双子、声も可愛くて好き。

旅を続けるリリーが、ラッカとノクという子どもたちに出会い、疑似家族になる物語。
朴璐美女形態(5歳)とリリーがとても可愛い。ここでも5年一緒にいるので、リリーにとってバレずに一緒にいられるぎりぎりの時間は5年なのかな。幼いラッカが無邪気に「パパとリリーが結婚したら、リリーが本当のママになるのに」などと言うんですが、パパ役が中山くんなので「リリーと結婚」とか言われるとちょっと心臓に悪い(笑)

  • 第2話:青い薔薇の教会

妹を殺した吸血種を赦さなくてはならない神父と、罰せられたい繭期の少年(CV朴璐美)の物語。
葛木さんがどんなお話書くのか楽しみにしてたんですけど、キャス変によって誰も意図していなかったはずの色んな意味が生まれてしまっていた。ちょっと冷静に考えたいので本来のアイクさんバージョンで1回見せてくれないか…らんくんの顔と声で、大事な人を殺した絶対に赦せない相手を赦そうとする男の役を演じられるのは、ちょっとこちらの繭期の幻覚が大変なことになるんですが…。(しかも途中で中山くんが絡んでくるので更に大変)

これ凄かったな。末満脚本でもなけりゃらんくんのための役でもないのに、あてがきしたみたいな役だった。黑世界には人の心があるけど、アイクの代役どうしようってなった時に「三好にしよ!」って思いついちゃったのはやっぱり血が緑なんだと思うなwwwでもすっごくよかったです。らんくんのお芝居好き。
2話、BGMも過去作品からの流用が多くて、なかなかぐっとくる部分が多かった。「私が赦すと言っているのに、何の関係のないあなたたちが何故赦さないというのか」のくだりはツイッター学級会みてぇな話だな…と思ってしまったけどw加害者でも被害者でもない人が勝手に代行で怒り出すやつ…w

  • 第3話:静かな村の賑やかなふたり

岩井さんのギャグパート。雨下も日和も3話で箸休め的にコメディがくるんですねw
情報が届いてない辺境の村で、勝手なヴァンプの言い伝えを大量生産しているというリアルな田舎あるあるの世界に生きる、元気なバカップルの話。黑世界、ヴァンパイアハンターを含め人間種のの狂気が凄いw

上原くんの超美声を超無駄遣いする最高の時間だった。特に中身がないまま歌って踊ってそのまま終わったのも凄くよかった。すえおじも本当はこういうのもっとやりたいんだろうなw
双子は3話と5話どっちがどっちだったんだろう。どっちも可愛かった。早くパンフが欲しい。

  • 第4話:血と記憶

大人になりギルドの一員となったラッカとノクに再会する話。1話の20年後。
結構重い話だったはずなんだけど、なんか冒頭で繭期ディビジョンラップバトルが開催されていたような気がする。え?あれも繭期の幻覚??(ああいうらんくん、年末年始にも見たな…TDCとか赤坂ACTシアターあたりで)(ほんとに代役なんか???)

ここまできてやっと成人女性役の朴さんが出てくる(笑)お互いがお互いのことを大事に思ってるのに、相手の意志を汲まないのでかみ合わないまま悲劇に繋がるこの感じ、本来のTRUMPだなぁ。リリーの再生シーンがなかなかにグロくて、「グロいな」と感じさせる動きができる鞘師が凄いなと思った。みっちゃんの再生シーンもまぁまぁキモいのでいつか二人並んで復活してみせてほしい。あと、「血を媒介に再生するときに他人の血が混ざると、相手の意識が中に入り込む」ってシステム既出だった?急に知らんシステム出てきてびっくりしたんだけど、ノクはなんで当たり前のように受け入れてんの?w

  • 第5話:二本の鎖

互いが互いのイニシアチブを握る繭期のヤバカップル、おたくが好きなやつでしょ!
中山くんの繭期芝居上手だったな。D2やぱっちの子たちが演じる繭期、ここまで積み上げられてきたTRUMP構文をすべて履修しているだけあって「王道」という感じがして好き。
「行き過ぎた愛情によるイニシアチブの掌握」はこれまでも出てきたけど、その熱量がお互いに同等だったらこんな愛の形もあるのかもしれないね。彼氏の方が真実を知らなくて一方的に自責の念と欲望のはざまで苦しんでるのは、彼女側ずるいなと思ったけど(笑)。女の方が一枚上手なんだよなぁ。

いい話で終わるじゃん……こんな切なくも眩しいラストが見れる日がくると思いませんでしたね……。朴璐美女形態、すごかった。こんなのもう朴璐美の100年の物語じゃん。
とはいえ、sharedという名の通り本家ではない黒世界、「TRUMP見たー!」という気分にはあまりならないなと思いながら眺めていたんだけど、上原くんが少女純潔を歌い出した瞬間鳥肌が立つほどにTRUMPだった。あそこで踊る鞘師、あまりにもリリーだった。あんなにも「少女純潔」という言葉をあんなに体現して踊れる人いるんだな。そして上原くんは歌が上手い(それはそう)

狂ってしまえば楽なのに、ソフィと同じ道はゆかぬと優しい心のまま気高き純潔を抱いて旅を続けるリリー。
いつかその伸ばした手の先がソフィに届いて、渾身の力でぶん殴ってくれる日が来ますようにと願ってやまないラストだった。


なつのお題箱