風の果て

恋をしただけ それだけのことを

Dステ映画祭に行ってきた

いいタイミングでTRUMPがシアター上映されるってんで、いそいそと初日に行ってきたよ(というか今日しか午前中空いてる日がなかったんだけど)。土曜の10時半、しかもお盆まっただ中だけあってガラガラで快適だったわ。D2ヲタしかいないかと思いきや、意外と男性おひとり様がちらほらいて、なるほどこれがTRUMPシリーズか、と。再演・再々演…と次世代につなぐパターンはよくあるけど、他ジャンルのヲタクを横につないでいく要素があるって面白いよなぁ。

Dステ自体初体験だったので、同じような若い男の子が16人どわーっと出てきて一斉にわいわいやってるのってなかなかにインパクトのある光景だし、1場面に出てくる人数が多くなると基本やかましいからw多少慣れるのに時間は要したけど、慣れたら面白かったです。ジャニも似たようなもんだけど、所属してる男子の種類が違うし、アプローチというか魅せようとしてくる観点も違うから新鮮ね。

以下、本編感想。
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【Dステ12TH「TRUMP」-TRUTH-(2013)】
なるほどこれはヲタク拗らせ甲斐があるわ…っていうのが一番の感想だった。1作品1パターンの中だけでも細かい伏線がいくつも存在しているから、これが逆バージョンだったり、初演や再演や女性版との比較だったり、続くリリウムやスペクターとのつながりだったり…というのをこねくり回しだしたら底がないわ。きっと他作品へのちっちゃい繋がりが山のようにあるのだろうなと感じたのは、前半見ていての小さな違和感だったり疑問だったり、何かが引っかかった台詞だったりが、種明かしの瞬間に一気に解消されたから。なんかもやもやしてた部分が全部吹っ飛ぶ、あぁぁぁぁぁそういうことかぁぁぁぁぁ!!!!!の瞬間が爽快すぎたわ!なんせ若手しか出てないのでどうしてもフレッシュさの方を強く感じてしまって、言い方悪いけど「まぁこんなもんか」って見てたのが、あそこで急に満足度あがるし、そこから作品に対する信頼感みたいなのが生まれるのでガンガン引き込まれる。あとここで一発目、いうても若くてそこそこ綺麗な男の子ばっかのTRUMP見ちゃったので、もうちょっと年齢も上がるしイケメン俳優縛りでもないTRUMPがどうなるかは気になる。


思いっきりソフィウルが中心の魂のシンメ物語なのかと思ってたら、影の主軸はクラウスとアレン(とバンリ)だった。ソフィウルはあくまで巻き込まれていく側の子で、物語そのものを生み出してるのは3人の方。TRUTHはちゃんじんクラウス、山田アレン、土屋バンリだったのだけど、ここにきっちりオーラがあって綺麗で演技力のある子を配置してるので、そこメンバー中心の場面になると急に面白くなる(笑)
山田ゆーきくんは映画館(の予告)でよくお見かけする印象で、制服着て女の子に壁ドンしたりwしてるとこしか知らなかったから舞台新鮮だった。あとから調べたらこれが初舞台だったそうで…。顔のつくりがしっかりしてて華やかだし、スタイルがよくて非常に美しいアレンでした。舞台メイクだと浮世離れした雰囲気が増して、本当に不思議で儚くて綺麗。ダンスシーンどきどきしちゃう。ちゃんじんさんはさすがの安定感で、ふわふわしてて寂しくて不安定なクラウスが意外なほどはまっていた。そういうイメージなかったわ。ずっとダサい眼鏡かけてるので、一番最後のシーンで眼鏡外して髪もちょっとあげて出てきたときの顔面偏差値にビビる(笑)バンリは終始かっこよかったなー。なんというか、この子が一番普通だった、いい意味で。いわゆる「若手イケメン俳優」感がない自然さだからすんなり見れるし、唯一の人間っていう立場ともリンクしていてよかったな。名前は知ってたけど作品見たのが初めてだったので、上手いなーかっこいいなーと思いながら見てた。動けるし。

で、そういう3人がいる上でのソフィウルはなんなのかっていうと、どんだけ繭期の美少年ヴァンプたちの焦躁と葛藤と儚さを出せるか、っていう役割だった気がする。この話、だれも幸せにならないんだよね。みんなが寂しくて報われないまま終わる。その中で、誰よりも重いものを…最終的には本来背負う必要のなかったクラウスの分まで背負って、それでも最後まで凛としてるソフィの哀しい強さと(割とずっと守られてる側なのに本人が一番強いし、すべてにおける割り切り感が凄い)、父と兄の愛情は受けてるのに自分が望むものは何も手に入れられなくて、ずっと選ばれなくて選ばれないまま死んでいくウルの弱さゆえの狂気との対比。正直幸人くんは映像の方が断然いいなーと思ったのだけど、三津谷ウルは踊るにしても剣振るにしても身体が凄く綺麗で見ごたえあった。基礎のある子は素人が見ても違うもんだなぁ。あと幸人が小さすぎて気づかなかったんだけどw、三津谷小さいんだね。ラファエロに連れて行かれるときすっごい小さくて弟感あって可愛かった。私と同世代なのに体型が少年のままや…。


肝心のストーリーの話。
ぶっちゃけちょっとネタバレ見ちゃってたからトランプがクラウスであることとウルがダンピールであること自体は知ってたのだけど。なんだかずっとピエトロの存在に違和感があって。アレンに対してやたらと世話を焼いてくれる理由が「ルームメイトだから」だけでは弱いし、あの子だけ他の生徒との絡みが全然なくて、一体この子はどういう立ち位置の子なんだろうって。あと「問題児」であるはずのアレンの扱いが雑。クラウスだけがいつも一生懸命探してて、ほかの人たちは「まぁたどっか行っちゃったんですか~(呆)」程度なんだよね。あれほど規則にやかましそうな環境なのに。それがミケランジェロが「猫の」アレンを抱き上げて、ほぼ同時に「100年前のヴァンプ狩り」のワードが出てきて一気に解決する。
クラウスがずっと探してたのは、猫のアレン。序盤で「首にひもでもつけとけ」「そんなことしたらかわいそうじゃないですか」ってやりとりがあったのは、相手が猫だったから。どれだけ脱走してもアレンが御咎めなしだったのも、猫だから。真っ白な服の美しいアレンがクランからの脱走を繰り返していたのも、人間の女と子を設けて殺害されたのも、全部100年前の話。だからピエトロとほかの人との絡みは一切出てこない。クラウスがソフィに執着するのは、あの時のアレンが残した子の子孫だから。この瞬間のもやっとがスッキリする感覚が超気持ち良くて、見に来てよかったと思った。面白いし、こんな細かい伏線が全部回収されて、もやもやが後に残らないの凄い。

後半、「このままじゃ繭期を超えられない、生きたい」っていうウルの切々とした願いが狂気に変わっていくも、結局何もかなえられないまま死んでいく鬱展開はすごかったなぁ。ウルにいいこと1つもねぇ(笑)真のトランプに縋りつくも「君はいい匂いがしないんだ」って一蹴されたときの絶望感凄まじかった。冷静に考えるとソフィのほうがかわいそうだし、True of VAMPの運命から逃れる術のないクラウスもつらいんだけど、ウルは本人が弱くて寂しくてコンプレックスの塊みたいな子だからほんと鬱。変な話、クラウスはアレンの幻想を抱いたまま生き続けてるからまだちょっと救いがある。
ラスト、「生まれ変わったら、僕は君になりたいな」から逆バージョンにつながるのだとしたら、REVERSEはREBIRTHともかかってるのかな。D2版では単なる役入れ替えだけじゃなく、ビジュアルやキャラ設定も結構変わったらしいので、そっちも気になる。