風の果て

恋をしただけ それだけのことを

COCOON月の翳り 5/21ソワレ、5/25ソワレ@サンシャイン劇場

本日めでたく東京楽!ですが、一足先に私の月観劇が終わったので、まずは月の感想から。
星の方は今日の千秋楽を見てから改めて書くけど、まさに「TRUMP 10th Anniversary!!」という感じでしたね。単発でやるには弱いから月と抱き合わせなのもわかるけど、ここまでの総まとめとしての打撃力が強い…。

話を戻して、月感想。
25夜は3回目のカテコのあと拍手が全然弱まらなくて、それでもさすがに帰り出す人たちも出てきて…というタイミングでもう1回出てきてくれてスタンディングオベーション!前楽でスタオベが出ると、客側なのになぜかガッツポーズしたくなりますね(笑)
超よかったんですよ、前楽。「今この高得点で、明日これ以上何をやるんだよ…」と思ったけど、NU版の時も東京前楽がめちゃくちゃ良くて、そのあと楽でさらに上を出されたので、今日はきっともっとすごいんだと思う。何がすごいって、あれだけのものやってもまだしんたに余裕というか、もう一段上げられそうな余地を感じられてしまったことがすごい。



ここから中身の話。

いやーーー青春だな!?超青春だった。
急に絵に描いたような気のいい不良キャラ出てくるし、屋上でみんなで夕日眺めるし、最終的に屋上でタイマン張るし、っていうか終始繭期たちが素手で殴り合っていて、ソフィウルがくるたった3年前のなのにやたら血の気が多くて治安の悪いクラン最高だった。90-00年代学園ドラマか。なんならティーチャーたちも青春だったね。

事前に明言されていた「コクーン」のあらすじそのまま、TRUMPの3年前、ラファアンがクランにきたばかりの時期の物語。14歳のまだ幼さの残るラファアンが、2時間の物語の間にぐんぐん拗らせていく様が見事だった。あらやんは久しぶりにこんな繭期ずぶっずぶになるタイプのメインキャストがきたなというハマリ具合だし、しんたは今回も天才だった。いつ見ても上手すぎてびびるんですよね、しんたちゃん…。
平行して描かれるのはドナテルロ回顧録で御馴染みのティーチャードナテルロ。「まって、ドナテルロがこんなリア恋枠みたいなえっちなお兄さんだなんて聞いてない!」から、「え、すごいド変態。やばい。好き。」までが爆速で展開されるので内心ゲラゲラ笑った。短編の中のちょっとしたサブキャラだと思っていたらとんだ曲者だったわ。美しくてえっちなド変態の圭ちゃんをたくさん見れるのでとても嬉しい。

あとこれは星月共通なのだけど、グランギニョルを通っていないとアンジェリコとウルの出生の秘密は解けないままの作りなので、今回が初繭期とかTRUMPだけさらっと予習してきたようなしんたちゃんのファンは一刻も早くグランギニョルを見てほしいw
アンジェリコちゃんがかわいそうで可愛くてかわいそうで、月は見終わった後しばらく「アンジェリコちゃん……」しか言えなくなるわ(笑)

冒頭のクランに来たばかりの二人がまだ幼くて可愛い。ラファエロに会えたのが嬉しくて尻尾ぶんぶんなアンジェリコちゃんと、めんどくさがりつつちょっとからかってみたりするラファエロ。親友かと言われると最初からジェリコちゃんの一方通行だった気がするけど、それでもまあ普通に「幼馴染」だった二人。1秒でも早くデリコズ・ナーサリー読みたいので、メルマガ配信でください。
しんたちゃんあの中だと小柄だから、ポンパにハーフアップをおリボンで留めて、レースの手袋に裾の広がるコートというスタイルがまーー可愛いんですよね。ここまで姫っぽいビジュアルのアンジェリコちゃん、初なのでは。完全にあのゲルハルト様ありきのアンジェリコじゃん。今回ラファエロの方が柔らかい茶髪(荒木さんのラファエロ、「母親似」と言われてめちゃくちゃ納得してしまう)で、アンジェリコちゃんが黒髪(実父)の巻髪(ゲルハルト様)なの芸が細かい。細かくおたくを殺しにくる(笑)

アンジェリコラファエロへの羨望とライバル心をストレートに出してくるあたりダリちゃんに対するゲルハルト様そっくりで、この子は本当に父とダリ卿の関係性に憧れていたんだなぁと思うんだけど。あの一方通行で妄執的な性格は完全にソフィに対するウルのそれなので、あぁ兄弟だな…となる。
ラファエロの方は、NU版TRUMPで匂わせて程度に追加されていたダリ卿との関係がはっきり描かれるので、ダリちゃんの子育てが絶望的にへたくそなところが露呈しまくっていた。父上の期待に応えることこそがすべてだった超優等生が、自由を求めるヤンキーに出会い憧れ、弟を疎ましく思う気持ちなどをやっと正面から自覚したところで、それでも自分の意思でデリコの後継者としての生き方を選び取る流れが、本当に絵に描いたような思春期の物語だったなぁ。これで、「僕たちはただ愛されたかったんだ」と叫べるアンジェリコちゃんの素直さに引っ張られてくれていたら、また違う未来があった気もするのだけどね。愛されたかったのは間違いないはずなのに、そこでアンジェリコを抱きしめてやる(=自分の鏡として受け入れる)ことはしないんだね。今回のラファエロのあの脆くて繊細でギリギリな感じ、ソフィウル年代から見たラファエロお兄様じゃなくて、1人のこどもだったラファエロとして存在していて凄く好き。
以前、TRUMPのラファアンは一回正面から殴り合ってればあんな面倒なことにはならなかったんじゃなかろうか…と考えたことがあったんだけど、屋上で夕陽を浴びながら殴り合った結果がTRUMPとなると、もう救いようがない拗らせっぷりだよな。

あと、アンジェリコちゃん絡みで好きなシーン二つ。
ウルとアンジェリコの二択で選ばれなかった時。「お前のせいだ。お前さえいなければ」の矛先が厄介事を起こした張本人であるディエゴじゃなくて、エミールの方に向かうあたり、親友が自分以外の子と仲良くするのが許せないからほかの子を潰しにかかる小5女子というか、浮気した彼氏じゃなくて浮気相手の女を刺しにいくタイプというか、ほんとめんどくせぇなアンジェリコちゃん…かわいそうで可愛い…。
一度取ったイニシアチブを使わずにジョルモロを服従させるシーン。21日より25日の方が遥かに迫力が増していて、あれは自発的にアンジェリコ様と呼んでしまうわ…という説得力が凄かった。なんなんだろう、しんたちゃんのあの貫禄。そろそろ私も様を付けて呼ぶべきかもしれない…しんたちゃん様…。

  • ディエゴとジュリオとエミール

新キャラ上級貴族トリオ。何と誰も死なない!という希望の繭期。ディエゴがラファエロより3つ年上、あの後3か月でジュリオとエミールが越繭してるところから考えても、何事も起きなかったらもうだいぶ繭期収まりかけだったのだろうけど、それにしたって全うな少年たちでびっくりする。繭期のヴァンプでこんなちゃんと友情関係が成立していたの初めてじゃなかろうか。
エミールがラファアンと仲よくしようとしたのも、捕まったディエゴに差し入れ持っていこうとしたのも、おともだちだったディエゴが変な薬で道を外したら「あれはよくない」ってちゃんと言えるのも、ジュリオが退屈しのぎと言いつつ五家と楽しそうにつるんでいたのも、あそこで「そっちには行けない」って言えるのも、全部凄く人間っぽい友情だったんだよなぁ。ディエゴも含めて、あの三人(と、最後はラファアンにちょっかい出しつつ)がだらだらじゃれてたクランでの日常は、三人にとって普通に楽しくて退屈な青春でありモラトリアムだったんだろう。だからこそジュリオは、その友情は置いていこう。大人になったら懐かしむんだって言ったんだろうな(これを言うのが最年少とーるちゃんなのがまた良い)。
ジュリオちゃんは、ビジュアルといいキャラクターといい最後に袖なくなってるとこといい、すべてが最高すぎたのでクランを出た後絶対に幸せになっていてほしい。あととーるちゃん見たのがジャー忍以来だったので、めっちゃ上手くなっててびびった。

ディエゴ、新入りがリンチされてたらとりあえず首突っ込んできてくれるカリスマヤンキーとしても最高だったし、ドナテルロの所業にいち早く勘づく賢さを持ち合わせてるのもいい。その賢さの使い方次第で、ああなったのだろうけど。ダンピールが上級貴族を完全にコントロールできるほどの強いイニシアチブを持ち合わせているのだろうか。吸血種側の親がよほど強いヴァンプだったんだろうか…などと考えてしまうけど、どうなんだろう。
2回目に見たとき、アンジェリコがジョルモロに両側から抑えられてディエゴに煽られるシーンが、TRUMPでソフィがジョルモロに捕らえられてジェリコちゃんにクズ連呼されるシーン(これ記憶違いだね。捕まってるのはウルの方だったわw)と構図がほぼ同じだと気づいて、あれはディエゴに侮辱されたアンジェリコ様の、ダンピールへの復讐でもあったのかもしれないなぁと思った。

あと全編通して碓井くんの身体能力が高すぎてディエゴさんがものすごい動きを見せるので、リアルに強くて笑ってしまう。エミールとしては見せ場ないけど、しゅーとくんもめちゃくちゃ動けるし、若手俳優たち身体能力がみんなヴァンプ並。

圧倒的ビジュアルとネジの飛びっぷりを見せる圭ちゃんを、両サイドから郷本鬼頭で固めるという布陣により、現役繭期勢以上の美しき繭期青春物語を繰り広げてしまっているティーチャーたち。回想に基づいた話だからか、グフミケの微笑ましい腐れ縁っぷりがたくさん見れるのが嬉しい。山場の殺陣で、ミケ様がグスタフの剣も持ってきて投げてくれるシーン、息ぴったりで好き。
あと圭ちゃんや郷本さんという2.5系若手俳優第一世代がこの年齢になって大人キャストに配置されるようになったことで、彼らがしんたやしゅーとくんを「昔の自分たち」として見つめる構図がメタ的な意味でも捉えられていいなぁと思った。ラファエロの位置にあらやんがいるから、ちょっと時空がゆがむけどwそしてこっちも殺陣のクオリティが高い高い。おじさんたちが一番強いw

突然現れた美しきド変態ドナテルロ細貝、あまりにも切れ味のいいキャラなので、今回1回限りなのがもったいないくらいだわ。「(再会したグフタフは)もうあの繭期のグスタフではなかった」も、「あの屋上で君たちが見せた繭期は美しかった」もおたくとしてわかりみが強い。若年層ジャニーズのおたくとして他人とは思えないヤバさがある。それにしたって「繭期愛好家」はパワーワードが過ぎるけど。
あとドナテルロがド変態であることを差し引いても、あんなえっちな美形教師を養護室に置いておくの、健全な青少年の情操教育によくないと思う。

  • おまけ・夕陽の話

夕陽伝じゃん…と思いながら聞いていたら、「悲しいは綺麗だ」と言われて突然刺された悲伝のおたく。夕陽の向こうには明日があったはずなんだけど、夕陽は陽向で明日は陽向だから、陽向が黄泉の国へ行ってしまったら夕陽の向こうにあるのは「死」なんだよなー。懐かしいね、夕陽伝。
夕陽は一日の終わり、夕陽が沈むと今日が死ぬ。星は死そのもの、月はそれを見守るもの。月はかなしい。かなしいは綺麗。
以上、慈伝(世界一慈悲のなさそうなタイトル)に向けてのメモ。

なつのお題箱