風の果て

恋をしただけ それだけのことを

怜々蒐集譚 2/24マチソワ@新国立劇場小劇場

マチネがキネドラマ、ソワレがキネマ。アフトクはふっきーさん&味方回でした。ふっきーさん目当てでこの日のキネマ取ったらあとからみかてぃ発表されて笑った。よく会うな!w

珍しく原作読んでから行ったのだけど、キネドラマがゼロからのスタートだとちょっとついていくの大変そうだったので、予習して正解だったかな。古きよき90年代商業BLで肌馴染みが良かったのと、この作品で烏鷺と乙貝にばっちと相馬くんをキャスティングした人は前世でどんな徳を積んだんだよ……という震えでめちゃくちゃ楽しみにしていた作品。どっちも面白かったけど、キネマが!キネマが最高だった!!ばっちと相馬くんを美しく撮ることに命かけた人間がいたのかっていう極上の美しさ。日があればもう1回見たかったー。眼福。


  • キネドラマ

原作と順序入れ替えて、狐火の女を導入に其は怜々の~につなげた形かな。狐火の方は原作読んでないとラストがちょっとわかりにくいけど、そもそも人の心が生んだ不可思議事象がベースの物語だから、そこまで明確なオチも必要ないのかな。
山場手前で葛葉と子供の幽霊の長めのシーンが入るんですが(狐火の場面)、実質味方の一人長台詞を延々聞く時間なので何のご褒美かと思いました(笑)原作の葛葉はもっとでかい美人のイメージで、みかてぃだとちょっと小柄な気がしたけど、本人の圧が強いせいかあまりイメージと離れなかった。

其は怜々の~のパートは終始相馬けーちゃんの色気と美しさが素晴らしかったんですが、私は帯で拘束される乙貝先生とか、烏鷺の亡霊に取りつかれる乙貝先生とか、そういう無駄にえっちなシーンを見たいという下心満載でチケットを取ったので、そういう意味ではちょっと残念でしたね(素直な感想)。冗談はさておき、セカチルぶりに見た相馬くんは相変わらず真綿でくるんで大切に大切に保護したくなる美しさであった。年齢の割に身体が薄くて手足が長いから着物着せると凄く庇護欲を掻き立てるし、加えてあの色気と透明感なので、そりゃ村も焼けるし国も滅ぶし烏鷺も暴走するわーー、となりますよね。傾国の美青年。
南くんはそのまんま「南くん!」って感じだったw絵に描いたような巻き込まれ型主人公w怜々はお耽美なくせにメインの南出泉葛葉の性格が元気いっぱいなので、乙貝先生がでてこないとどんどんコメディタッチになっていくのが愉快。ふっきー出泉とみかてぃ葛葉の掛け合いは、声が綺麗で聴きやすいので延々聴いてられるな。

  • キネマ

とんでもなく美しかった。大正時代の日本家屋、美しい庭に椿のビビットな赤と、淡く細やかな桜の花吹雪。
学生服に身を包み、少女漫画みたいな顔とスタイルでわかりやすいイケメンのばっち烏鷺。女学生にキャーキャー言われるのがよく似合うし、女の扱いも上手い。対して、和装の相馬くんの生っぽい色気。烏鷺が夢を見させてくれる王子様なら、乙貝はリア恋枠。周りが勝手に溺れていく艶と魅力。バランスが最高だったなぁ。
冒頭の縁側のシーンが、軽口をたたき合う二人の会話がいかにも仲のいい男の子たちで微笑ましかった。そのくせ烏鷺の感情駄々漏れの眼が本当に綺麗で。綺麗な男の恋をしている眼というのは、どうしてこうも切ないのだろうかと、同じ制作の「Yeー夜ー」を見たときと同じことを思った。


自分と公美子との結婚を祝ってはくれないのか、"親友の君が"。
という乙貝がド天然なのか確信犯なのか最初迷ったのだけど、わかってたはずだよね。乙貝はたぶん公美子のことは本気だったし、烏鷺の気持ちにも気づいてた。敢えて煽るようなことを言ったのは、公美子のことであれこれ口出されたのと(なんせモテる男である烏鷺にあんなん言われたら面白くない部分もあるだろうしw)、何より自分が絶対に届かない烏鷺の才能に対する嫉妬からのいじわるだったのかもしれない。烏鷺の方もそれが無自覚を装った確信犯であることは薄々感じてたのかな。シンメだしな。無邪気を装うその言動に、じんわりと柔らかく傷ついていく烏鷺がまた美しい。

烏鷺にしたら、ただでさえ公美子の存在にダメージ受けてるのに、乙貝の才能までもっていかれたらたまったもんじゃなかったんだろうな。乙貝を、乙貝の感性を奪った相手を自分の方に引き寄せて(己がモテる前提のやり方なのがまた凄いw)、傷つくことでまた光出す彼の文才と、ついでにうまくいったら自分の元に帰ってきてくれるんじゃないかという期待もあったのかな。
真実を知った乙貝は「僕が傷つかないと思ったか」と烏鷺をなじるけど、先にじわじわ傷つけていったのは乙貝の方で。それでいて「ぼくのことが好きか」をトドメにもってくるのはずるい。ずっと言わずにきたことを相手の口から自覚させられてしまったら、それこそ決定打じゃん。才能では絶対勝てない相手に対して、乙貝が持っていたジョーカーは「愛されていること」だなー。もーーここの乙貝がほんっとにダメで!w本気だった婚約者奪い取られてるんだから立場上は完全に被害者のはずなのに、具体的に何か悪さをすることはなく相手を追い詰めていく感じがほんと厄介なんだけどw、傷ついても怒っても乙貝とんでもなく色っぽくて魅力的んだよね。あんなの惹かれるなという方が無理だわ。

お互いが唯一無二の存在だったことも、お互いの文才を心底愛し憧れていたことも同じなのに、愛情の形がほんの少し違うことの歪みがどんどん大きくなった感じなのかなぁ。どっちも天才じゃなかったら、もっとシンプルに親友、もしくは恋人だったかもしれないのにね。
烏鷺の念は、どこまで烏鷺自身のものでどこからが乙貝の深層心理だったのだろう。烏鷺は本当にただ、庭から彼を眺めていられればよかったんじゃないか。烏鷺の未完作品を完成させたかったのは、烏鷺の才を取り戻したかったのは、乙貝の方なのかもしれない。左手をくれてやると、自分の中に巣食う烏鷺に告げる乙貝のあのカットが一番綺麗だったなぁ。ぞっとする美しさ。

  • アフトク

そんな耽美を浴びまくって5分と経たないうちに、ふっきーさんによる「エロすぎる烏鷺のモノマネ」を見せられたので8割くらい吹き飛びましたけど、トークショーとても楽しかったですw内容はついったーにツリーで書いたので貼っておきますね。忘れないうちにって帰りの電車で急いで打ったので、文の最初と終わりがかみ合ってなかったったりするけど大目に見てください。ふっきーさんも味方も、たくさん喋ってくれるしあまり脱線しないので、話の内容が濃くてよかった。あと熱海セミナーのときも思ったけど、味方はたまに真面目に喋るとびっくりするくらい話がわかりやすいよね。こういう頭の回転の速いクソガキタイプが、健やかに気持ちよく売れていく世界であってほしいわ。


なつのお題箱