風の果て

恋をしただけ それだけのことを

熱海殺人事件 ラストレジェンド~旋律のダブルスタンバイ~@紀伊國屋ホール(キャスト編)

紀伊國屋ホール改装前最終公演。
無事完走おめでとうございました。板の上の人たちも、平日17時開演のハードルと戦いながら通ったみんなたちもお疲れ様でした。

「誰が倒れてもいいように」という名目で組まれたダブルスタンバイ制度が圭ちゃんの声帯が死んだことにより本当に発出されてしまったり、公演期間中にずーみんちゃんの不穏な感じのおめでたいニュースが流れてざわついたり、果ては創くんがステアラで回ることになったり、たった2週間ちょいの間に色んなことがあり、相変わらず愉快で事件性の高い現場だった(笑)
ただでさえ事件性が高いのにキャストが倍の数いるからいつも以上にしっちゃかめっちゃかしており、他の作品だと少なからず「明日公演がなくなるかもしれない」という心配が頭をよぎるのに、熱海に関してはもうそんなこと全然考えなかった。初日開いたらもう最後まで行くでしょ、この人たちは。という謎の信頼(笑)

最初に紀伊國屋ホール熱海殺人事件を見たのが2014年の2月。バトルロイヤルの馬場さん回。
そこから数えて8回目のつかこうへい復活祭。古いし見づらいし椅子は尻が埋まる厄介な劇場だけど、大好きだし思い出がありすぎてちょっと寂しいなと思いながら千穐楽を見た。あのくそみたいな椅子、新しくするなら座席番号のプレート売ってくれないかなぁ(笑)


組み合わせのバリエーションに対して見た公演数が圧倒的に足りてないので、組み合わせによる変化までは見れず、個々の感想しか書けないのが惜しい。通常公演もうちょい入れとけばよかったな。

各回日替わりのメモはこっち→choco-ice.hatenablog.com
バトロワとチャレンジは別途まとめる…まとめたい気持ちはある…。

  • 荒井(木村伝兵衛)

あっくん!!1年ぶりのあっくん伝兵衛!!!!
味方は1年目→2年目で怖さが増したんだけど、あっくん伝兵衛はかっこよくなった。俺たちが抱きしめていた憩いでトイレ掃除してた可愛い伝兵衛が、1年でだいぶ大人になっていた。いかんせん味方伝兵衛を観すぎてるので、まだ目新しいあっくん伝兵衛に魅力を感じてしまうのは必然なんだけど、それにしたって素敵だった。あとあっくんはデカイので迫力があってよい。

荒井千穐楽回の「あのドアを開けると~」からのあっくんがとんでもなく良くて、千穐楽できっちり最高得点出してくるあっくんかっこいいぞ!!になった。いい回だったな~。ちゃんと面白いって思える回だった。

あと初日に公開されたエンタステージのインタビューがあまりによかったので貼っておく。ほんとこの人、つか作品と馬場伝兵衛のおたくなんだよな(笑)
enterstage.jp


  • 味方(木村伝兵衛)

見慣れすぎた味方伝兵衛。傷一つない喉から繰り出されるノーストレスで全単語聞き取れる台詞が、そろそろ「喉から音源現象」に近づきつつある今日この頃。端的に言ってしまうと「飽きた」という気持ちはあるけど、それでも役者紹介で挟み込まれる「改装前最終公演」を聞くと、やっぱりこのタイミングで紀伊國屋ホールの幕を引く役目はこの人だよなぁと思う。

正直この「改装前最終公演」という名目がなかったら今年味方いなかったんじゃないかと思ってて。石田味方のハッピーセット命名:あっくん)は飛龍伝で行くところまで行ったし、蒲田の味方銀ちゃんはまさしく神様みたいで、もうこれが卒業公演なんだろうなと終演後にいつメンたちと話してたんですよ。
だから今回ってボーナスステージみたいなもんだと捉えてるんだけど、そのボーナスステージの最後の最後に、やっぱりこいつにはかなわね~~~って思わされて終わったの、凄くよかった(笑)強かったなぁ!めちゃくちゃ良かった、大千穐楽。昼間超かっこいいあっくんに惚れたとこだったというのに、ここへきて本気出してきた味方の木村伝兵衛、化け物級だった。相当喉強いはずのあっくんでもちょっと声枯れてたのに、まーーーーじで傷一つない。ぴっかぴか!w

なんだろうね、あの劇場そのものと呼応してるような、あの空間まるごと味方の為にあるような。緊急事態宣言だろうがなんだろうが熱海は絶対やり切れると信じて疑ってなかったけど、疑う余地なんてないんだよ。あんな神に愛されてる人が板の上にいるんだから完走出来るに決まってるんですよ。紀伊國屋ホールの神様に愛されてるんだから。

  • 細貝(熊田留吉)

高身長イケメンの熊田。全然田舎感ないし、レストランでめっちゃナイフとフォーク使いこなせそうだなと思ってしまうので、熊田の貧しさが全然ないのが難点だけどw、みんな大好きけーちゃんが熱海に出てるのはシンプルに嬉しかった。熊田をやってもキュートなのでけーちゃんのキュートさは凄い。め組のボックスステップからの「めっ」が世界一キュートだった。

ここ数年RUPの外で見るけーちゃんはすっかり大人枠で、実力もあるかっこいいお兄さんになりつつあったのだけど、ここへ帰ってくると相変わらずポンコツ可愛いけーちゃんなんだよなぁ。千穐楽で全身タイツ着せられてぼっこぼこにされてたの、凄いけーちゃんぽくてよかった。いつまでもみんなの可愛いけーちゃんでいてくれ。
警視庁の窓開けて叫ぶ「うっそでーす!うっそでーーす!」が毎回可愛くて好きだった(笑)

  • 石田(熊田留吉)

ハッピーセットの片割れ。けーちゃんの声帯が死んだことにより、通常公演1回追加+本来休みのはずだったチャレンジ公演にまで駆り出され、ダントツ最年長なのにダントツ働いていた。それでも最後までやりきれるんだから本当に化け物なのよ、この人(笑)普通に芸人としての仕事も回しながらこれやってんだから。

最初の石田出演回が17日の荒井新内石田池岡回だったんだけど、熱海経験値少なめのメンツに混ざったらえげつなく芝居が上手かった。ずば抜けて上手い。最初のつか作品が新幕末の坂本だったんだからそりゃ上手いに決まってるんだけど、それにしたってびっくりする。当たり前になりすぎた味方石田の組み合わせじゃない姿を見れたのもよかったな。
…と思っていたが、大千穐楽を見たらやっぱりハッピーセットしか勝たんかったので、いやだーーーー卒業しないでーーーーーー!!!!となりながら劇場を後にした(卒業するとは誰も言っていないがw)(でもそういう空気だったんだよ、千穐楽の板の上全体がwww)

  • 新内(水野/アイ子)

初週から後列でもちゃんと聴こえるくらい声出てて、滑舌もいいし上手い下手で言ったらたぶん上手い方なんだけど、そつがなさ過ぎてイマイチつまんないなぁという印象だった。水野はあれでもいいんだけど、アイ子はもっと哀しくあってほしいんだよ~~~。でもこの「形がしっかり仕上がってる」のはさすがアイドルですよ。アイドルは何でも出来る。出来るんだけど、もうちょっと引っかかりをくれ。というのが正直な感想。Wキャストがみな子ちゃんだったから「若い方」扱いだけど、ここ数年の水野役に比べたら大人だしW伝兵衛と年齢的にもちょうど合うのは良かった。

どっちかというとチャレンジ公演で爆弾やってた姿の方が好きだったかもしれない(笑)みな子と仲良しで可愛い。

  • 愛原(水野/アイ子)

満を持してのみな子ちゃん登板。同じ台詞同じ役のはずなのにこうも情報量が多いか…と感心するくらい、しぐさ一つ表情一つで色んな感情が伝わってくるので女優はすごい。そりゃ新内さんも訴えたくなる(笑)(チャレンジ公演の爆弾の話)。ちょーー好きだった、みな子の水野。「この背広、高いんですよ。靴だって女が一人で買おうと思ったら大変ですよ」はこのくらいの年齢で言った方が迫るものがある。

私がみな子ちゃん見るときってだいたい振り切れたコメディエンヌしてるんだけどw、今回も表情筋フル活用で大暴れしていてさすがだった。それなのに「部長、時間です!」からのハーレーダビッドソンのくだりで毎回いきなり泣くので惚れ惚れする。
あと「キュンでぇす!」が凄かった。何とも説明し難いのだけど、あの「キュンでぇす!」はなかなか言えるもんじゃないw

  • 松村(大山金太郎)

新幕末2018ぶりの参加。初見(開演三日目くらい)で見たときは何もつかめなくて、なんとなく「めちゃくちゃ利己的な大山だな」と思った。のすけは絶対幸せにしてくれなさそうな男を演じるのが上手いな…(褒めてる)。
今回どっちの金ちゃんもあんまり食べたことない味つけだったのでずっと戸惑ってたんだけど、千穐楽でトップまでギア入った時に、案外スタンダードな金ちゃんだったのかもしれないと気づいた。金ちゃんのあの悪気の無いむかつく部分が濃いめに出ているので、情状酌量の余地がないけど…w

鬼滅のターンで毎回のように「(顔が)流行りに逆行している」って言われてましたけど、まさに流行りに逆行している顔が好きなので視覚的に楽しかったです。千穐楽でめ組踊ってるときに瞬間最大風速的に凄いときめきが駆け抜けていって、そのあとしばらく本編に集中できなかった。ちょーーかっこいい。あれは結構踊れる人の動きだった気がするんだけど、のすけって踊れる人ですか?(虚空に向けた問い掛け)

  • 池岡(大山金太郎)

終始一貫して異分子だった池ぴ金ちゃん。怖かった。凄い怖い金ちゃんだった、何あれ、サイコパス…?
のす金はまじで情状酌量の余地がないけど、少なくともクソ男の根性を叩き直す物語ではあるんですよ。でも池金はなんか、人間としての一線を超えて向こう側にいった化け物に人の心を取り戻させる話みたいになってんのよwラストの君とぼくとの楽しいあやとりのくだりの「嫌いだもん」が急に妙に幼くて、それにあやとりを教える部長の図が、人外の子どもにニンゲンの文化を教えているようだったもんな…w

なまじ芝居が上手いので浜辺のシーンの終盤とかまーーーじで怖くて、あんなのアイちゃんじゃなくても帰るわ!っていうか逃げるわ!と思いながら見ていた。池ぴ、同じつか作品でも完全に中屋敷班の子なので、やしき演出だとどういう風になってたのか気になるなぁ。やっぱロマンスを見ておくべきだった(n億回目)

【熱海千秋楽予告編1/31夜】
飛龍伝90:江浦河本大石→細貝伊豆沼→石田山崎
新幕末:あっくん勝&のすけ以蔵→池岡土方→新内沖田(ラストシーン)
蒲田完結編:創くん監督、味方銀ちゃん、みな子小夏でラストの階段落ちシーン


走馬灯みたいな予告編だった。
あれは予告じゃない、この5年くらいに見てきたものの総集編だ。
今のメンバーが最初にメインで公演やった2016年の新幕末純情伝、スペシャル公演の予告編を見たときにこの若手世代がこの先この作品を作っていくかもしれないっていうまさに未来に向けた予告編だなと思ったんだけど、今回のは完全にこれに対するアンサーだった。

なつ@choco_ice_annex 2016年7月11日
【SPカテコ7/10メモ(仮)】
飛龍伝(大石さん黒川さん他)→蒲田行進曲(清家さん伊達さん、永田ヤス、味方銀ちゃん)→広島(荒井ディープ山崎)→熱海(すどー熊田、細貝伝兵衛、ゆっくん金ちゃん)→幕末純情伝(石田さんれなさん)


飛龍伝も蒲田も見れちゃったなぁ。あの時「あっくんのディープ山崎見るまで死ねない」って思ったので、残る広島はあっくんが実現させてほしい。

ほとんどのメンバーが過去に自分で演じた役を再放送していく中、やしき班を背負った池岡さんの外様っぷり、なんかよかったな。ずっと異分子だったけど、面白かったなw
あとあの全員の巨大なお気持ちが渦巻く中で、いきなり菊一文字握らされてプルプルしてた新内さんのことはめちゃくちゃ応援した。凄い緊張して与えられた台詞を一生懸命喋っていて、怯えた小動物みたいになっていた。大変だったな…おつかれ…可愛かったよ…。

予告編ラスト、味方銀ちゃんの「人は幸せになるために生まれてきたのです!」で終わる最終公演、綺麗な幕引きだった。
ばいばい紀伊國屋ホール。新しくなって夏にまた逢おう。

なつのお題箱