風の果て

恋をしただけ それだけのことを

あたらしいエクスプロージョン 3/19ソワレ@浅草九劇

もう観劇から随分日が経ってしまったので、台詞とかもあいまいになっているのだけど、記憶の限りで感想を。

笑ったし泣いたし、あんな狭いとこでそんな派手なことする!?っていう勢いがあって楽しかったです。ここで水芸ってアリなの!とかw
当日パンフ開いてド頭に、「何事にもはじまりはあります。はじまったら終わりません。」って書いてあって、開演前から痺れた。アイドルや俳優のおたくやってると、「何事にも終わりがある」を毎日のように突き付けられるじゃないですか。別にそれを苦痛に思ったことはないし、そこまでひっくるめてそういう世界だから好きなんだけど、でも、終わるもんは終わる。そういう世界の内側の人から、1行目で「はじまったら終わりません」って言われるの、なんか、それだけで凄い嬉しくなっちゃうもんだな。ベッメイは言うことがいちいちかっこよくてずるい。

墓場や南の島ほど痛烈に刺さるものではなくて、だから普通に笑って普通に泣いて、視覚的にも楽しくて、杮落としのお祭り感もあってよかった。あと、映画いいなって改めて思わせてくれるものだったなぁ。どうしても、公演期間5日とかの舞台を優先しちゃうから映画どんどん見に行かなくなっちゃってて、毎年見る本数減る一方なんだけど、やっぱいいよね、映画。
『あんたの今の数秒間、100年先までおっけーだよ。』


まず海荷の話。こんな近くで海荷見ることも今後ない気がするので、じっくり堪能してきたのだけど、まーー可愛かった。つやっつやぷりっぷり。「東京中の頑張った男たちのご褒美になるんだ!」がハマるあの可愛さったら。そうだねー海荷はご褒美だね可愛いねーーって、私の中のおじさんが大喜びしてました。超可愛い。あと、客席に海荷おぢさんたちがいっぱいいたのも、ベッメイでは珍しい光景で面白かったです。

狭いし演者も少ないけど、早着替え間に合わないとか、この人とこの人は同時出演できないとか、そういう演劇的な事情も全部笑いの中に盛り込んであって楽しかった。最低限のものから大容量のものを生み出す技術というか。山本さんがかっこいいとか、八嶋さんがめっちゃ面白いとか、そんなもん観る前からわかってるんだけど、それでも実際見ると本当にかっこいいし面白くてテンションが上がるんだ。楽しかったなぁ。

あと、時代が近いからかな、なんだかずっと南の島に雪が降るを思い出しながら見ていた。「生きてるやつは芝居をしよう。」の先で、生き残った人たちが言う「生きてるやつを見て、死んだやつのことを思い出した」なんだなぁ。みんな一度には幸せになれないよね、のくだりもそうなだけど。生きてるだけでいいなんてことないんだよ、みち代さんが言ってたように。そういう中でも、そういう中だからこそ、どんな時でもエンタメは生き続けるのだなぁ。
今回一番泣いたのが、杵山が戦時中に人々を戦争へ扇動するような映画撮ってた話のくだりで。今まで自分が監督として映画撮れる立場になかった人が、戦争によって結果的に監督作品撮れるようになっちゃって、それが嬉しくて思想とか大義とかそんなもん関係なく、ただ映画と撮りたくて撮ってた杵山が凄い好きで、そこでめちゃくちゃ泣いた。そういう人が撮る、日本で最初のキスシーン、絶対面白いじゃん。
戦地でも芝居はできるし、焼野原の東京でも映画は撮れるし、考えてみたらつい数年前の日本だって、震度3とか4の余震が続くなかでも毎日フライングしてたし。未曽有の大震災は、5年でゴジラになっちゃったし。なんか、そういう、変な貪欲さを大事にしていきたいよね。作り手はもちろんだけど、受け取る側も。そこに込められた思想やメッセージの具体的な内容には、私はあんま興味ないんだけど(笑)ただ、自分の持ってるものをそういうエンタメの形に変換してぶつけてくる熱量が、それを浴びるのが、ほんとに好きだなと思った時間だった。楽しかった。