風の果て

恋をしただけ それだけのことを

ひとしば感想

せっかく作ったのになかなか活躍の場がない「Mixalive TOKYO」からお送りされる一人芝居シリーズ。
最初に発表されたのがオンライン配信芝居乱立期だったのもあり、あんまり期待していなかったのだけど、今のところ配信系ではこのシリーズがダントツで面白い。(廉のだけ見れてなくてすまん)
人気脚本家のちゃんと面白い芝居に、おそらくそれなりにお金がかかっているであろうカメラ台数&ストレスのないカメラワーク、Zoomさえダウンロードしておけばメールで送られてきたURLクリックするだけでつつがなく見れる配信(アーカイブはZoomも不要)、そして一時間という時間を一人で配信で持たせられる演技力とビジュアルを持った若手俳優。このくらい揃えば、オンライン配信でも演劇は出来るんだなぁと思った。このくらい揃えるの、めちゃくちゃ大変そうだけど。

いや、初回見たときに気づいちゃったんだよね。オンライン配信の圧倒的デメリットである「集中力が続かない」をカバーする方法。話が面白くて、芝居が上手くて、かつ映像配信に耐えうる顔の良さ、このくらい揃ってないと「演劇」という形をわざわざ配信でやるの難しい。だったら初めからドラマのメソッドでドラマ撮った方が面白いじゃんってならないためには、「生の力」(これはファンサの威力も込み)で押し切っていた部分と正面向き合うしかないのだなぁ。。

…ということを毎回思うのだけど、それだけ毎回シンプルに面白いので、この企画のことは信用している。
ここまで名だたる2.5界トップクラスが名を連ねてきた中で(全員初期あんステを力業で支えてきた人たちだな…)、来週はその一つ下の世代からいきなり糸ちゃんがくるのでそれはそれで楽しみ。ほさかさん何やらせるのかなw

初回。正直私は荒牧にも岡本さんにも特段興味がないので、むーさんの回に向けての予習感覚だったんだけど、だからこそ、それでもちゃんと1時間面白かったことに感動した。今思えば、この回が一番映像寄りだった気がする。一発撮りのドラマっぽいというか(ex.サクセス荘)。場所も楽屋や客席がメインだったしね。最後だけ板の上からお送りされる演出好きだったな。

何気に2.5じゃないストプレの荒牧をほぼ初めて見たので、上手いんだなぁこの人…などと当たり前すぎる感想を持った。

第1弾あらまきが1人で1万3000字喋ったので、りょうには1万4000字ご用意した西田のおじさん。2週間前に最初の7ページがきて、4日前に最後まで上がった西田のおじさん。1時間尺には収まらなかったのでアフトクの時間がなくなった西田のおじさん。最初から最後まで西田たっぷりだった。1万4000字の一人芝居を自転車操業でやらすな。

開始2秒で「西田ーーー!!!!」ってなったし、なんかもうこの数カ月見たかったものが一気に画面からあふれてきて、OPタイトルのあたりで既に1回泣いた。号泣しながら見てたわけじゃないけど、なんか最後までずっとめそめそしてた。直前にディスグーニー配信見たから余計エモい感じになってたのかもしれないけど。好きなんだよなぁ。
「ぼくがかんがえたさいきょうの北村諒」みたいな65分だった。最初から最後まで、最高に美しいむーさんが最高に美しい芝居をしてくれる。音も照明も普段見る西田作品そのまんま、なんならアングルもDVDやダイジェスト映像の撮り方と似ていて、家でもちゃんと没入感を得られるのがよかった。ネズミのシャボンスキーアングル、えっちでしたね…。
プロローグとエピローグだけ客席から、本編は舞台上で紡がれるベルリンの壁崩壊に向かうドイツの物語。題材が題材なだけに、エンドルフィン級の濃い何かを浴びた気がする。凄く好きだった。見終えたあとちゃんと「観劇」したときのテンションになってたもんなぁ。

あと身内組がめっちゃ盛り上がってたのも良かった。むつ子もねぇ、どうなるかねぇ、喜劇…。



  • 橋本祥平×中屋敷法仁 いまさらキスシーン

配信当日は紀伊國屋千穐楽と被ってたので、最初からアーカイブで見るつもりだった。しょへとやしきさんでひとしばをやることはフォロワーみんな知ってたし、買ってる人も何人もいた。
なのに、なぜか誰一人、二日前に公式アカウントに掲載されていた演目を把握していなかった(過去作品も見てる人多いのに、誰も公式フォローしてなかったのウケるな…)。千穐楽後に呑気におたくとだべりながらTLを開いたら、エンタステージの記事が流れてきた。サムネにうつるポンパのしょへが可愛かったので、わーい可愛いなと思って記事を開いた。

ひよりちゃんがいた。

ひよりちゃんが?????いるんだが!!!!!?????

そこからTLが騒然となったのだけど、マジのマジで公演終わるまで誰もこのことを知らず、リアタイで観た者も誰もおらず、こんな大事件がうっかりそのまま流れ去りそうになってたのも結構衝撃だった。現場厨の集うTL、配信情報に弱すぎる。

というわけで、アーカイブ配信後に見ました。
いや凄い。この作品が玉置さん以外の人で、こんな形で実現してしまうの、コロナ禍が招いた事故としか言いようがない。凄い。やべぇやべぇと思いながら見たけど、終演後アフトクで「一人芝居やらせるにあたって、作品決めるより先にまず「女装させよう」と思って女装ありきで考えた。」といった趣旨の発言をしていたやしきさんが元気よく一番ヤバかった。ほんとこの人見てると元気でる。2カ月後にはこんなヤバい人が書くTRUMPアンソロが読めるんだと思うと鳥肌立ちますね(脱線)。

しょへのひよりちゃん、圧倒的に可愛かった。パッシパシの睫毛のアイメイクも、ピンクのグロスも、赤いリボンにピンクのシャツもチェックのプリーツスカートも、もうちょっと違和感仕事しろよってくらい普通に可愛い。それだけ可愛い子が「いまさらキスシーン」をやっているという状況が最高に狂っていて素敵だった。しょへはガワが可愛く生まれ過ぎただけで、中身は大概ぶっ飛んでいるので、そのちぐはぐさがピタッとハマる作品がここなのかもしれないなぁ。いや、この組み合わせ思いつくやしきさん、本当に狂人なんだなと思ったけど(褒めてる)。
しょへくらいの威力をもってしても本家の声量とエネルギーには足元にも及ばないので、改めて玉置玲央という怪物の凄さを噛みしめながら、この事故みたいな産まれ方をした新世代ひよりちゃんを見れた奇跡に感謝した。

なつのお題箱