風の果て

恋をしただけ それだけのことを

BANANA FISH 6/12マチネ@銀河劇場

水江ちゃんのとんでもないビジュアルと共に舞台化の一報が流れたのが3月半ば。
おたく必修科目でありながらここまで触れずにきていたバナナフィッシュ。野次馬しに行くついでに原作履修のチャンスだろうかとぼんやり考えていたら、20日後にはキャストの欄に推しの名前が追加され、次の瞬間70%OFF期間のDMMのカートに原作全巻が放り込まれていた。そんなことある!?w

GWに一気読みした。めちゃくちゃ面白かった。「アッシュ」と「英二」しか知らない状態で読んだのに、ユーシスが出てきた瞬間「さなちゃん絶対これじゃん」となったのも面白かった。キャスティング超ハマってる。
とても丁寧に辛い気持ちにさせてくれる作品だったので、これは丁寧に描いて欲しいなと思ったけど、前後編に分けて(おそらくオーサー戦までが前編として)、時間…足りなくない…?というのは心配だった。削るところがない。

などと考えながら迎えた初日配信。「すごくすごく忙しい人のためのバナナフィッシュ」が爆誕していて正直笑った。笑ったけど、総じて出来は良かった。チケット先行全滅しててもう配信でいいかと思ってたけど、それはおたくの怠慢だろと思ってそこからちゃんとチケットを手配した。
久しぶりの銀劇、現場で生で見るバナナフィッシュは配信の10倍面白かった。やっぱり演劇は生しか勝たん。



先述したようにすごくすごく忙しい人のためのバナナフィッシュなので、削るというよりは「絶対に必要なところだけを選んだ」という印象で、前半は特に爆速で進むから「もう少し余韻をくれ」と思ってしまうのはどうしようもない。でも、セットも音楽もおしゃれで趣向が凝らされていて面白かった。爆速展開なので舞台上で二元、三元に話が同時進行していくのだけど、セットの使い方が上手くてそれを目で追っていると爆速展開があまり気にならなくなる。セットの中にいくつもの部屋が生まれては消えていく。一階部分の扉が、背景映像と合わせて電車のドアになったの好きだったな。最後の、線路上のオーサーとアッシュを下からみんなが見上げている光景がそのまま再現されていたのも良かった。

2.5といえど現実世界の人間の物語だし、極力地毛で自然なビジュアルにしているのもあって、2.5じゃない漫画原作舞台の方に近い印象かもしれない。2.8次元くらい。暗めの照明の中に柔くライトがあたった画の質感が、あの時代の少女漫画の空気を感じられて心地よかった。尖ってヒリヒリしていて刹那的で、それでいて愛に溢れてて。

  • アッシュ

グッズの写真から何から、とにかく水江とアッシュの美しさを限界値まで引き出そうという熱意が感じられて好き(笑)横顔にかかる金髪も、アクションシーンで映える長い脚も、英二に触れる指先もとにかく全てが美しかった。
水江ちゃんの大人びた見た目と喋った時の歳より幼い感じが上手くはまったのか、とても「17歳」だった。なんなら原作より17歳だったかもしれない。子どもなんだなぁというのが伝わる分、やるせない気持ちになる。あとパパディノやマービンを誑しこむ時の甘ったれた声がけしからんかったです。おそろしい子…!(笑)

ついでに役者本人の話をすると、エーステやヒプステみたいな年中やってる巨大コンテンツって成長記録にはなるけど今この一瞬の煌めきを閉じ込めるには向いてないと思うので、今の年齢の水江ちゃんの美しさをがっつりパッケージ化した作品が生まれて良かったなぁなどと思った(笑)

  • 英二

くるむの英二、どうなんだろうと思っていたけど、見たらめちゃくちゃ納得してしまった。「英二役」としてどうこうじゃないんだよな、関係性の話だから。「このアッシュ」に対する英二はくるむだった。添い遂げ退団をしたやつにしか出来ない役がある。などということを、例の「ずっとだ」のシーンを見ながら考えた(笑)あの空気感は演技力だけじゃ出せないよ。
あとくるむの良いところって度胸だと思ってるので、英二の火事場の馬鹿力っぷりが合う。

実年齢も見た目も幼いけど、カテコでふにゃふにゃしてる水江ちゃんの横で笑ってるのが、なんだかちゃんと「オニイチャン」だったのでグッときた。

  • オーサー

得意分野だろうなと思っていたし、期待を裏切らず似合っていたので満足。ショーターが撃たれる前後のオーサーさんがとても楽しそうでよかった。キャスト発表からずっとあった「ちっちゃくない…?」という懸念点は対アッシュだとあまり気にならなくて、英二の胸倉掴んだ瞬間に英二よりちっちゃかったのが一番ふふっとなったかもしれない(笑)
最後のアッシュとのシーンは、跳躍力抜群で飛び回るオーサーと、脚の長さであらゆることを解決してくるアッシュの対比がちょっと面白い。水江ちゃんのアクション、初日配信時で見たときより昨日の方が良かったので、このままメキメキ伸びてほしいな。ゆっさんに千穐楽ブーストかけてほしいので(なんとなく今回はそんなに終盤になっても変えてこない気がしてるけど)。
舞台の一番高いところでの最後のやり取り、シーンとして凄く好きなので基本的に真剣に見てるんだけど、ふとした瞬間に「なんで水江とタイマン張ってるんだろう…」という気持ちになる。人生、誰がどこで交差するかわからないものですね。

あとこれは要審議案件なんですけど。舞台版のオーサー、ナイフも殴るのもずっと左なんだよね。日常動作以上のことに右手使わないんですよ。最後の最後、ファーストネームのくだりの後だけ右持ち。一応原作確認したけど、これ舞台オリジナル設定だよね?神経逝ってて引き金引けないならナイフも握れないのでは?というのは確かにそうなので、それに合わせたんだろうけど、誰が言い出したのか凄い気になるのでどうにかしてその辺聞き出したい。インスタライブのQAに突撃すればいいんだろうかw(ちなみにグッズ写真次点では右で持ってた)
結果的に若干のハンデとしても機能するし、最後の最後で本気出した感出るのであの演出好き。

  • シン

俺たちの恋!!!!
出てきた瞬間から恋だし、出てきた直後の立ち回りでいきなりあのセット全部使って暴れまわるので、演出サイドのはしゃぎっぷりを感じた。一人で端から端まで全部使う(笑)
芝居もアクションも発声も一人だけ天伝クラス(普通の座組にいると浮くほど馬力があるの意)だし、鯛ちゃんの声だけ5.1chサラウンドで3階席までお届けされるので痺れた。結婚してくれ。都合上ケインが出てこないのでケインの役割がシンに吸収されており、決闘開始のシーンで完全に銀劇を抱いていた。

鯛ちゃんのシンで光の庭見た過ぎるので、鯛ちゃんを20cm以上引き延ばすにはどうしたらいいのか真剣に考えている。

  • ショーター

冗談半分に「開始10分で退場では?」などと言ってたんですが、1時間くらいは生き延びてくれてよかった。みんな大好きショーター。後編も出て(無理)。
月龍に眠らされた英二をぎゅっと抱きかかえてるのが好きだった。あと研究所で遺体をあれそれされたのをアッシュが見つけるシーン、原作のコマがそのまま再現されたみたいな構図になってて感心した。上手い。

  • 月龍

月龍は後編が本番なので今回は顔見せ程度だったけど、紫のチャイナ服が良く似合ってましたね。19の頃のマライヒのイメージが強かったので、体つきが大人になっていてびっくりした。それでも相変わらず美人さん。

  • 大人組とかアンサンブルとか

内田朝陽を舞台で見るの初めてだったんだけど、ドラマでよく見かけるようになったころは高校生の制服着てたのに、おじさん役をやるおじさんになったんだなぁと変なところで感慨深くなった。そりゃそうだよ、あの頃は私だって制服着てる歳だったんだから(と思いながらなんとなくWikiを見たら、鯛ちゃん(14歳役)と4つしか違わなくて変な顔になった。舞台ってすごいネ。)
マックスかっこよかったな。マックスの奥さん、存在確認レベルでしか出てこなかったけど、後編どうなるんだろうか。出てきてくれないと私が好きなシーンに影響出る気がするのでどうにかしてほしい。

アンサンブル勢…というかほぼサブキャラ役付きだったのだけど、エイブラハムがめちゃくちゃいい仕事をしていた。普通に気持ち悪い(褒めてる)。あとアレックスは後編もっと活躍するはずなので、クレジットもう一つ上げてやってもいいんじゃなかろうか(アレックス好きなんです)。スキップは誇張抜きで開始10分の命だったけど可愛かった。夏にステアラで会おうな(笑)


カーテンコール後の後編予告編、最後の最後てっぺんのド真ん中で銃を構えるアッシュ。あの画が成立するアッシュ役が見つかって良かったなぁ。
あと一週間で終わってしまうなんてかなしいので、終わった翌週から後編をやってほしい。

なつのお題箱