風の果て

恋をしただけ それだけのことを

舞台「刀剣乱舞」―綺伝 いくさ世の徒花― 3/29マチネ@明治座

2年越しのリベンジ公演、まずは東京公演完走おめでとうございました。
桜の花が咲くこの季節と明治座の趣がとても似合っていて、まさに雅を感じる公演だった。真夏の極寒のステラボールじゃなくて、春の明治座でやれて本当によかった(笑)

あの科白劇の中で、どこかの本丸が見つけた報告書として語られるだけだった物語が、きちんと実体化して目の前に現れて「真実」を見せられるというこの形式、なかなか経験できないので新鮮な面白さがあった(誰から見た「真実」なのかはさておき)。
殺風景な中に椅子だけが置かれていた聖堂での長義VS朧の人間たちのシーンが、ちゃんと聖堂のセットになっていたのが一番好きだったかもしれない。他にも、街があり建物があり、村人たちがいて遡行軍がいて、花が咲く。そして、あの時「語られなかった」ものがある、本当の綺伝。

1幕終わった瞬間の感想、「これ2年も言わずにとっておいてたの!?」だったからねぇ(笑)すごいじゃん、めっちゃみんな出てくるじゃん。こんなオールスター総出演みたいなことある!?w
面白かった。无伝が私の中でイマイチだったのでちょっと拗ねてたんだけどw、やっぱ刀ステおもしれーーーー!!!!!ってなって帰れて幸せでした。はーーーこの先が楽しみすぎる。


以下、ネタバレあり。地方だけ見る予定の人はネタバレ踏まずに悲鳴上げに行くことをお勧めします。

一番気になったところから書こうかな。

黒田(と便宜上呼ぶw)の言うように、放棄された世界はどこにも辿り着かず、流れを堰き止められた水のように同じところを巡り続ける。それにより「濁り」が生じる=ループするたびに少しずつズレや差異が発生する。それがここ数作で発生している「繰り返しているうちに変化が起きている放棄された世界」の話。
それはつまり、悲伝までの円環の中の本丸で起きていたのと類似事象ということになる。

となるとだ。
悲伝までの円環が本丸壊滅を防ぎたかった三日月によるループだったことと照らし合わせると、あの本丸の正史はどれなの?そもそも我々が見てきた本丸って放棄された本丸だったのでは…?ということになりませんか。
あの本丸は何度も何度も何度もやり直しを重ねて、三日月が願った誰も折れない、本丸襲撃も切り抜けられる強い本丸になった。その中で、黒甲冑が現れたり鵺が生まれたり、少しずつイレギュラー事象が増えていって、歪みながら悲伝千穐楽の、あの三日月にとっては幸せな結末にたどり着いた。
でも、それってすでに歪んでるんですよね。初期で山伏が折れるのを防いだあの時から、もうずーっと、あの本丸は本来の形じゃない未来を生み出し続けている。それって完全に「より強い物語を得て正史になろうとする朧の歴史」と同じじゃないですか。

ステ本丸は結いの目の三日月(言うなればバグ)によって円環に閉じ込められていた。出口のない場所を廻り続けて、淀みによるズレが生まれつつあった本丸は、悲伝のラストでそれを断ち切った。つまり、水が流れ出す場所ができた。
流れ出した水はどこへ向かうのか。その澱んだ水(=放棄された世界)が本流に合流(=正史の書き換え)に向かっているとしたら?
時間遡行軍たちが歴史修正ではなくただ刀剣男士を全滅させるべく動いているのは、放棄された本丸の完全抹消のためなのだとしたら?
今、「歴史を変える」という禁忌を本当に犯そうとしているのはどちらなのか。実は彼らが歴史を守ろうと動いていることの方が、歴史修正なのでは?

……というところからの、あの「反転」のワードなのだとしたら。
それは、「別軸でもう一度始まる舞台刀剣乱舞」ではなく、「裏から見た舞台刀剣乱舞」なのではないか。というのがパッと浮かんでしまったんですよね。例えば、織田信長から見た舞台刀剣乱舞とかね。やっとお出ましですしね、信長公。
既に私たちは「反転した虚伝」を見せられてるので、あれと信長らく顔がなかった信長がどう絡んでくるか、楽しみですね。お前の見た信長の話…。


ついでに言うと、悲伝まではあの本丸の刀たちがループしていて(=放棄された世界の中にいて?)、維伝以降は直線の流れの中にいる刀たちが朧の人々がループしている放棄された世界の中に飛んでいるので、そこの差も絡んでくる気がしているんだけど、まだ自分の中で整理されていない。
天伝无伝はまんばちゃんたちの時系列的には「悲伝前」だけど、そもそもあれ着地点がずれてあの時間軸に飛んでしまっているので、本来は未来の本丸(維伝以降)から飛んできた太閤が遡行するはずの軸なんだよな。


という話を長々書いたところで、あとはざざっと面白かったところを。

・鵺めっちゃ動く
鵺に自我があるとは初日組から聞いてたけど、転がる程度だろうと思っていたら想像の50倍動いてた。獅子王ちゃんの真剣必殺後に殺陣、鵺にすべてを持っていかれてなにも覚えていない。

獅子王ちゃんの小烏丸様の物真似がやたら上手い
っていうか、伊崎による玉さんの物真似が上手い。本人憑依してるかと思った。

・よしきが喋る
序盤で村人Aみたいなよしきがまぁまぁ長い台詞を喋ったのでびっくりした。朧んばちゃんのデスマスクが出てきたときの次くらいにびっくりした。良かったな、よしき…(親戚のおばちゃんの気持ち)

・聖堂のシーンのあれ
相変わらず梅津の芝居がうめぇぇぇぇぇ!!!!!
ってなるのですが、梅津VS山浦さん、たまんねぇですね。もっと見たい。「どこかで会ったか」って聞くの、何?と思ってたら朧んばちゃんだったんですね。
これ、天伝で斬られた如水が本物の朧如水で、今回出てきた義高は朧んばちゃんが化けていた、っていう認識でいいんだろうか。めちゃくちゃタチ悪いじゃん朧んば…。

・右の頬を殴られたら
左の頬を殴り返すうめつ長義さんがパワーアップしてた。脳筋本丸…。

・朧アベンジャーズ
…ってフォロワーさんが言ってて上手いなって思った(笑)。翔さん、ずっと声の出演してんな…。
阿吽ちゃんは相変わらず可愛い。阿吽ちゃんと鵺ちゃんをセットでマスコット化して売ってくれ。あとちょうど明治座千穐楽の日に紀伊國屋ホール熱海殺人事件観てたので、「一色君の本体…」と思いました。声帯は明治座でも頑張ってて忙しいな一色君。

天正少年使節
OPが闇のアルターボーイズみたいでちょっと笑った。
4人いるけど7割のすけが喋っているし、残りのうち2割はさとちゃんが喋っている。台詞4分割じゃダメだったんだろうか。
白衣装になってからのスペクターメイク風ののすけ、すげーーーー顔が綺麗だった。サイドの編み込みが可愛くて、ちょっと雪女ちゃんを思い出した。さとちゃんは体感100年ぶりに見たけど、相変わらず時が止まったかのようにビジュアルが変わっていなかった。綺麗よさとちゃん。

・亀甲さんの殺陣が凄い
今回全体に殺陣は控え目(見栄え重視)なんですが、その中で真剣必殺後の亀甲さんの殺陣がとても綺麗で印象に残った。さすがぱっち。

ガラシャ様と地蔵さん
というか、お兄様とゆづさん。今回も大変よかった。ゆづさん、メイクもだけど声の出し方も変えたのかな?科白劇より今回の方が断然好きでした。
地蔵を演じられる若手俳優は他にもいるかもしれないけど、七海ひろきのガラシャを「姉上」って呼べる地蔵はゆづだけなので、本当に天才キャスティング!科白劇では地蔵が一人で空を斬っていたシーンに天正少年使節団が追加になっていて、戦ってた相手お前らだったんか…と思ったり。

・だっくま歌仙ちゃん
安心の座長。ベテラン若手俳優の基盤の強さを感じた。
花道付近だったので、花道を駆け抜ける横顔がよく見えたんですが、あまりにも生田斗真に似ているので実家のような安心感を感じてしまった。しかしまぁ綺麗な顔してんなぁ…。
修行に行って終わるのかと思ったら、爆速で帰ってきたので笑いました。渾身のドヤ顔で帰ってくるのが歌仙ちゃんっぽい(笑)極衣装、綺麗だったなぁ。


旅公演はまだまだ続きますが、どうか怪我無く病気なくコロナなく、全公演を終えられますように。天伝のゲキシネ(ゲキシネではない)も観に行きたかったんだけど、なんだかんだで見ないまま終わりそうな気がする…。


なつのお題箱