風の果て

恋をしただけ それだけのことを

舞台「青の炎」10/28@スペースゼロ

人生に大きな影響を与えた映画を3本挙げよ、と言われたら迷わず最初に「青の炎」と答える。そのくらい好きな作品が、何故か今になって突然舞台化された。(ちなみに残り 2本は今のところ「百万円と苦虫女」と「ヒミズ」)

14歳で原作を読んで、映画も観て。
当時から物販あまり買わない子だったし中学生だからそもそもお小遣いにも限りがあったのに、青の炎はパンフも写真集も初回円盤も全部買ったし、大人になってからWOWOWで放送されたのを録画してBlu-rayにも焼いた。曲も映像もお芝居も、とにかく全部が永遠に好きな作品。

あの櫛森家が北村田中+ありさちゃんで、スペゼロで観れるなんて、そんなの最高が確約されている!!ありがとうオフィスエンドレス!!と言いたかったのだけど、そのスタッフクレジットに西田大輔の名前だけがなかった。ここまで揃えておいて、何故(銀劇にいるからだよ)
「西田だったら通ったのに!!!!」と喚きつつ、これはもういいか悪いかは自分の目で確かめるいかねぇなと思って気合入れて初日を申し込んだら、最前のチケットが来て笑った。ガチタイマン(笑)


……という感じで挑んだ初日終演後のツイートがこちら↓

なつ on Twitter: "うーん、65点!って感じでした。ステージ上の顔は200点。" / Twitter

なつ on Twitter: "喧嘩するほど悪くないし普通に面白いけど、全てがちょっとずつダサかった" / Twitter

なつ on Twitter: "あのLINE映像マジで許せなかった。あれがなくて絵の具のくだりがはいってたら75点だった" / Twitter

なつ on Twitter: "色々言ってるけど普通に面白かったし、全部飽きたりもしないので観て損にはならないと思うよ。おかわりはいらんなと思ったので、私はこれからまほろばのスケジュールを考えます(笑)" / Twitter

いや、面白かったよ。ちゃんと作られてたし、お芝居も良かったし。
でもなんか、ずっとちょっとずつダサいしちょっとずつツッコミどころがあるんだよなぁ…という感じではあった。変な思い入れなく普通に見たら、ちゃんと面白い作品だと思います。
今これを観に来ている大学生くらいの子たちはあの頃生まれたんだなと思うと感慨深いものもあったし、今回観劇前に復習とか一切しなかったのに、舞台見ながら先のシーン先のセリフがどんどん浮かんできて、思っていた以上に覚えていた自分にもちょっと笑った。大好きだなぁ、「青の炎」。
大好きな作品が、きちんとした形で舞台化されてよかったです。



好きだったところ

  • 舞台上の「青」

三方を客席に囲まれたセットと通路には、開場時点であちこちに真っ白なキャンバスが置かれている。油絵の絵の具を塗ってあるような塗装になってはいるのに、それは最後まですべて真っ白なまま。
主人公の秀一の制服は、水色のシャツに紺のネクタイとスラックス。残りの出演者の衣装は全て白。静かに高温で燃える秀一の「青の炎」だけが、そこで色づいているのが視覚演出としてとてもよかった。ついでに、その唯一の「青」の顔面画素数がとんでもなく高いので、本当にそこだけ浮き上がって見えてたな(笑)「すげぇ顔のいい櫛森秀一だ……」と思いながら見ていた。

遥香の真っ白なセーラー服可愛かった。リボンもプリーツスカートも無地の真っ白で、ローファーも白。着る側の素体の強さがないと似合わない衣装をばっちり着こなすありさちゃん、とても可愛かった。あと紀子の制服のリボンとスカートがグレーのチェックで、そこだけ少し色が入っているのは、唯一真実を告げられた人である紀子の立ち位置を示してもいるのかなぁと思ったり。

  • "あの紀子"がいたこと

飯窪さんの紀子が完全にあややだった。あのあややの独特な「きみ」とほぼ同じトーンの「きみ」が放たれるたび、自動的に映画の画が浮かぶくらい、あややとニアリーイコールな紀子だった。
それが演出家側の意図なのか飯窪さんのハロプロ魂故なのかはわからないし、そもそも「あややの紀子は紀子として正解だったのか」という問題は今もあるのだけどw、とにかくあややの紀子が20年の時を経て後輩の身体に憑依しているのが凄く面白かった。いいものを見た。

紀子の世界から浮いた妙な感じ、当時のあややだとそのまんまで成立したけど、あれを他の手法で表現しようとするよりは、あややの紀子を召喚した方が説得力がある、かもしれない。映画でも舞台でもほとんど触れられていないけど、紀子はかなり浮いた存在でビッチだって噂されてるような女の子だから。(でも脱がせてみたら処女だったので秀一くんもびっくり!というのがあの雨の日のシーン)

  • 最終章の朝の場面

原作で2番目に好きな、最期の朝の場面。
「昼ごはん何がいい?」って聞かれて、最初は何でもいいって返した秀一が、思い直して「パスタとかがいいかな」って言う。自ら念押しみたいに「昼ごはんはみんなで食べよう」って言って出ていくあの場面。すごく好きだった。そのまんま舞台上にあった。

そのあと紀子に会って、ロードレーサーを漕ぎだすラストシーンまでしっかり引き込まれて観れて良かったです。でもあれ初見の人、自殺したってわかるんだろうか。

  • 村田中夫婦による夫婦バトル

「よーじろーさんの曾根なんて見る前から最悪が確定してるじゃん!!」って騒いでたんですが(褒め言葉だよ)、きっちり最悪でした。コンビニ店長やってる時の方がイキイキ感はあったけどw
その最悪の曾根と対峙する良子さんとのガチバトル、ド迫力だった。最高なんだけど、良子さんが強すぎて、「情で曾根を置いてしまっている女」としてはちょっと説得力に欠けたかもしれない。自分の手で殺しそうな勢いある(笑)
冒頭でも書いたけど「北村田中+ありさちゃん」ってほぼ本当の家族が家族役をやっているようなもので、こんなご褒美みたいなキャスティングあるんだなぁとお船の常連客はほくほくしました。

  • 田中は大きくて可愛い

本役以外にもさまざな役を演じていた働き者の田中。リカちゃん人形みたいな体型のむーさんの隣に立つと一段と長くて、スぺゼロサイズだとちょっとはみ出していた。大きい生き物は可愛いな。
弁護士役も田中がやっていたんですが、あまりにもでかいので曾根よーじろーさんが弁護士に圧をかける際、「テーブルの上に乗って上から見下ろす」瞬間があって大喜びだよ。でっかい。


イマイチだったところ

  • 時代設定が謎

スマホを使っていたので現代に寄せているんだなーとは思っていたんですが、よく考えたら冒頭で秀一が「来年18歳になったら極刑もあり得る」と言っているので、18歳で成人=2022年設定なんですよね。(原作確認したら「三年後、二十歳になってしまえば」だった)

なんですけど、高校生がかなり堂々と教室で酒を売買し、秀一が夜な夜な酒を煽っていることに関してノータッチなので、ちょっと違和感があった。(「ゲイツ」のあだ名についてはご配慮台詞が追加されているのに・笑)
原作が1999年なので成績優秀な高校生が酒飲んでても全然普通なんですけど、今の設定だとそんなガバガバな感じで飲酒してていいんだ…?という感じ。そもそも深夜3時に高校生が一人でコンビニの店番している時点でアレなんだけどさw

  • LINE映像が死ぬほどダサい

2022年クソダサ映像部門1位、あれで決まった。无伝のカジキマグロより許せない。
秀一と紀子が江の島デートの約束をするシーンがLINE風メッセージアプリでのやり取りになっているのは全く問題ないのですが、本人たちが手にスマホを持って口頭で文章を読み上げる形で会話が成立しているのに、なぜかスクリーンにそのLINE画面がポコンポコン出てくる。よくわかんないスタンプとかまで出てくる。
せっかく青と白で統一されていたあの空間に、緑背景のあの画が出てくる必要絶対ない。許せない。でもダサすぎてみんなに見せたいので、配信買う人とかは注目してみてくださいw

  • 田中が大きすぎる

石岡役が田中なわけですが、いくらフルフェイスのヘルメットを被っていようが、防犯カメラの画像が粗かろうが、あんな長い人間が現れたらどんなに遠目でもわかっちゃうだろ!!!!!という思わぬところで計画が破綻していて笑った。顔より脚を隠したほうがいい。人類の脚は普通あんなに長くない。

  • 絵具のチューブが出てこない

これは尺都合もあるから、決して文句ではないんですけど、絵具のチューブ出てきてほしかったーーー!という個人的な感想です。
2022年設定で「ロッカーの鍵(物理)」は無理があるやろと言われればそれはそうだけど、先述したように謎時代設定で動いているので、そのくらいの無理は押し通せたのでは(笑)


11/3に千穐楽配信があるよ
色々好き勝手言っておりますが、この世で一番好きな映画の舞台版なので、劇場まで来るのは難しくても、配信アーカイブ等で是非見てね!という宣伝を最後に貼っておく。ちゃんとした作品なので、安心して見てくれ。
まほろばかなたで忙しいお船いつメン客の皆さんも是非に。
officeendless.com


なつのお題箱