風の果て

恋をしただけ それだけのことを

The View Upstairs ―君が見た、あの日― 2/5マチネ@青年館ホール

お友達がチケット手配してくれたので観てきました。ほぼドセンで見やすかった~。
1970年代アメリカで実際の起きた、同性愛者たちが犠牲になった痛ましい事件が題材。1970年代のゲイの話というと秒で「いつも心に太陽を」の話をし始める可哀想な持病があるので、見ながら頭の片隅でずっとオカマ先生のことを考えていた(序盤から壮大な脱線)。


先に各キャストの話から。

かねてより「踊る平間くんを直視したら死んでしまう」と思い極力平間現場に近づかないように気を付けていたのですが、今回ついにあの狂気の月髑髏以来4年ぶり(4年…!?)の平間くん現場に足を踏み入れてしまった。大変だった。踊ると…というより踊らなくても全ての動きがドストライクなの本当に大変だった。あんなにごついヒールブーツ履いてるのに小さくて最高。
小関くんは映像でしか見たことがなかったんだけど、ミュージカルもあんなに出来る人なんですね!背が高くて衣装が似合ってて素敵だった。ウェスとパトリック、ハマり役だったなぁ。似合ってた。他の面々が喋っている時に横でいちゃついてる姿がとても可愛い。恋をする男は良いな…。
お久しぶりのしょごたんは、パッと見女の子と見間違えそうなくらいキュートで、真っ白なおみ足に釘付けだった。クイーンの姿も良い。フレディはあの中で唯一「母親」という最強の味方がいるせいか、一番余裕があって優しい感じなのもよかった。性格自体が「優しくていい子」なのもあるんだろうけど、あれは多分「持つ側の人間」故の部分もあるので。対して、それがないバディが更に持たざる者であるデールに一番つらく当たるという構図まで含めて、登場キャラクターの描き方が上手いなぁと。一見同志みたいな被差別の集団の中にも階層はある。
で、その最下層にいるのがデールなんですが、まず東山さんのビジュアルが好みだったので、実は最初から最後まで「可愛いなぁ」と思って見てました。あの展開で!?とか突っ込まないでほしい。私は煩悩には勝てん。
現代で言うところのASDとかなんだろうけど、あのちょっと自閉っぽい独特の動きを維持したまま踊ってる曲とそうじゃない曲の切り分けは何だったんだろうな。序盤でウェスにビール片手に話しかけに行ったときの「丁寧に話したのに!」が一番ぎゅっとなったかもしれん。定型の人間の注文、難しいよな。


実在の事件が題材の作品は観劇後にWikiでざっくり補完することが多いんですが、本件はWikiにほとんど情報がなかったので今回はこちらを参考に。
honyakumystery.jp


デールは火事のことを知らせにきた(が、結果的にドアを開いたことで爆発が起きた)のかなと思ってたんだけど、容疑者扱いだったんですね。というのは1回観ただけだと理解しきれなかったので助かった。

初演が2017年なので初めから「現代」の若者向けに作ったのか、ウェスの存在をナビゲーターとしている親切設計のミュージカルだった。ウェスはLGBT問題の当事者だけど、ある程度時代が進んだ今を伸び伸びと生きている(つもりでいる)若者なので、差別する側と非差別側の視点を同時に担いながら思考を誘導できる役なんですよね。親世代の話なんだし、実際には現代の若者でももうちょっと歴史的な知識あるのでは!?という気もするけど、ナビゲーターもしくはガイドボーカルなのであれでいいんだと思う。


なるほどなぁと思った。
同性愛に関する知識が広まり、以前よりは幾分人々が暮らしやすくなってる(はず)の世界が育てば育つほど、「いつも心に太陽を」が上演しづらくなるのが私は許せないんですが、現代でこの時代の話を語り継ぐ上での「わかりやすい」ってこういうことかと思った。
じゃあわかりやすいいつここを観たいかと言われると、全然そんなことはないのでこの知見は何の役にも立たないんですけど。いつここだって私が見た2015年時点で既に相当噛み砕かれてただろうし、これ以上わかりやすくなったら困る。(毎年やってる熱海なんて年々親切になりすぎて、5年後くらいには「猿でもわかる熱海殺人事件」になりそうだもんな)(急な悪口)

どんなに飛龍伝が面白くても初級が観たい!!って暴れてるのと同じように、ロマンスじゃなくていつここが観たいんだよ私は。そんなことを、ずっと考えている。
来月、紀伊国屋ホールの板の上でりゅきさんと武田さんが同時発生したら持病の発作で死んでしまうかもしれない。せめて修羅雪姫じゃなくてつか作品だったら、予告編でワンチャンあったかもしれないのになぁ。


………え、これTVUの感想記事のつもりだったんだけどな???(完)


なつのお題箱