風の果て

恋をしただけ それだけのことを

少年社中「DROP」9/4マチソワ@紀伊國屋ホール

社中、久々の紀伊國屋公演。熱海をここでちゃんと見れないままになっていたので、ようやく改装後の紀伊國屋で芝居を見れた。マチソワで両バージョン見たので覚書。

マチネDumpty→ソワレHumptyの順で観劇。これ逆順で見たらぜんっぜん印象変わったんだろうな。
私は元々毛利作品の打率3割の人なので、あ~~この全然ピンとこない感じ久しぶり!と思いながら見ていたwなんだろうね、毎回オチがぼんやりしてるの。OPはいつも面白いんだけどなw

  • HumptyとDumpty

主演の性質によるところが大きいと思うのだけど、Dumptyの方が断然わかりやすくてクラシックで劇団公演ぽさがあって、Humptyはもっとポップで歪で商業みが強い感じ。第一声、小説家の「ここはどこ?」から全く違ってて面白かった。私は断然Humpty派ですが、Dumptyの方が小説家と演出家の雰囲気は好きでした。えりちえしか勝たん。

D、すっごいわかりやすかったんだよね。ちあきが出てきた瞬間からもう「おっ、百合じゃん」だったし、2回目の朝次点で既に「こいつ絶対嘘ついてるじゃん」だったし、井俣さんのオービットと死人の少女も見るからに親子なので「娘が死んだ」話がその少女に直結する。わかりやすすぎてミスリードなのかと思ったら、そのまま最後まで行ったのでちょっと拍子抜けしてしまった(笑)。でも全体の雰囲気が社中っぽいなって思った。この作品が生まれた頃の社中のこと全然知らないけど、Dumptyは「社中っぽい」。しかしまぁラストシーンというかちあきが死んで以降が全然頭に残らなくて、これはともるの方が好きだろうな、などと思いながら見ていた。
で、Hは期待通りともる(と未央さん)の剛腕により、もう少しポップでエンタメ寄りの作風になってたんですけど。というか、Hはどうしてもともるの設定に無理あるから、それを突破する腕力がラストの物足りなさを結果的に補った気がする(笑)ともるオービットが語る「娘」、せいぜい5歳ってとこだろうに、死人の少女はキュートなJKみたいなビジュアルだからさぁ。普通に二人とも可愛くて、手を繋いで迷宮の中を駆け抜ける様がフラワーコミックスだった。可愛い。そのままくっついてほしかった(安直な感想)。あと身も蓋もない感想ですが、Hはひたすらともるがかっこよかった。ずっとかっこよかったのでともるに見惚れてたら90分あっという間だった。全身黒ずくめで銃を構えるともる、なんらかのPTSDを発症する客がいないだろうかということだけ心配だったw

  • 迷宮の男たちの話

男性5人の劇団員と客演わかはいの配置がきれいに逆転してるのも、各人と小説家が1対1で絡んだ時の関係性が全然変わるので面白かった。
Dの小説家と三上のやりとりは相馬けーちゃんがえっっっっちすぎて、しかもこっちはちあきがわかりやすく好戦的なので、誰が見たって秒で消されるだろ確実に抹殺対象だろって感じだったんですよね。えりさんとの身長差が凄くて、かがんで視線を合わせるのが完全に恋だった。Hの小説家と三上の安居酒屋の飲み仲間になりそうな雰囲気があって、それはそれで好きだった。
配役の時点でお察しだったけど、案の定というか想像以上に怖かったのは、ありそさんとしんたのWキャスト。マチネでありそさんのボウル見ながら、「夜この役のしんた見るのぉぉぉぉ」って怯えてたんですけどw、しんたのボウル、登場シーンからありそ版と全然違ってて、この二人が5人の中では一番台詞差異デカイのでは!?というくらいなんだけど、要所要所でちゃんと同じ役割を果たしているのを不思議な気持ちで見ていた。個人的にしんたを見るのがあの12月のスペゼロ以来だったので、全く衰えぬ演技力を浴びれて嬉しかったです。やっとおかえりが言えた。
あと台詞差異で言うと、スフィアが殺されるシーンで、Dの真一くんだけが自分の臓物眺めながら「お金になる!」って笑いながら退場になったのが気持ち悪くて良かったw

  • ちあきのこと

初見で、イマジナリーフレンド、もしくは小説家の別人格かな?と思って。鏡の国のアリスなので、後者の方が自然かなと思ったんですがどうだろう。主人格を守るために現れたタイプの強い人格(ありがち)。地下に降りた後、ちあきが小説家の登場人物であるはずの少女にダイレクトに殺されているから、小説家に生み出された人だと思うんだけど。2回目確かめようと思ったけど、結局わかんなかったな。
そうなると、ボウルが母親を殺したくだりで出てくる「ちあきが小説家の母親を邪魔になって殺した」話が、小説家が母親殺したことになるので、急に風呂敷が広がっちゃうんだけどね(笑)
Dは小説家がわかりやすく庇護対象でちあきが最初からアクセル飛ばしてるから、余計に「明日に向かうことをやめた小説家の脳内で生み出された物語」に見えたのかもしれん。Hの未央さんの小説家と良子さんのちあきはぐっと落ちついてるので、そこまで閉鎖的じゃない(ので、H全体が商業作品っぽいんだと思う)

ラストシーンは、人生ままならないし辛い過去は消せないし、明日に向かう資格もないかもしれないけどそれでも愛する人と手を取り生きていこうみたいな話だったんですが、「これだけやっておいて、えらい普通に終わったな…」という感じだったので特に…書くことがないな……(笑)。ここ数回当たり続きだったので、まぁそんなこともある。


なつのお題箱